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「乱れた後に」

 ……超、ぐったり――――……。  乱れに乱れて、そのまま落ちて、眠って。  寝ながら水を飲まされたりで、一瞬目が開いても、次の瞬間にはもう寝てて。  やっとのことで、目が覚めた時には。  多分もう深夜で。  夜のこの世界は、本当に、静かで真っ暗。  動かず、目だけ開いて、状況を確認して。  喉。乾いた……。  でも動いたら、ルカ、絶対起きちゃうし。  抱き締められてるので、少しも動けない。  ルカも疲れてるだろうし……。  このまま寝ちゃおうかな……。起こしたら悪いし……。  動かないで、また目を閉じる。  ――――……しばらくそのまま、動かない。  でもダメみたい。もう全然眠くなくて。  喉の渇きがひどい……。  そっと起き上がって、そっと、抜け出ようとした腕を、掴まれた。 「……ソラ?」 「――――……」  眠そうなのに、もうすっかり起き上がって、オレの顔を見つめてくる。 「大丈夫か?」 「うん」  頷いて、ルカを見つめる。  すると、ルカは、ん、と笑う。 「体は? もう熱くないか?」 「……ん」  さっきみたいな奥が疼くみたいな感覚は、もう、綺麗になくなってる。  頭の中のモヤモヤしたものも無くて、すっきりしてる。 「もう、いつも通りみたい」 「そか。――――……水か?」 「うん」 「持ってきてやるから。待ってろ」  ベットから立ち上がって、ルカが近くのテーブルで、コップに水を入れて、持ってきてくれる。 「ありがと」  受け取って、一気に飲み干す。 「もっと欲しい?」 「うん」  頷くと、ふ、と緩む瞳。頭に手が乗っかって、優しく撫でられる。  すぐそのまま水を入れて来てくれる。  水を今度は一口飲んで、コップを少し下に降ろす。 「おいしー……」 「――――……やっと普通の顔だな」  隣に腰かけたルカが、またオレの頭に触れる。  ルカのせいで、頭を撫でられる事に、何の抵抗もなくなってる。  むしろ、ほっとする位。  ルカって、オレの頭、撫で過ぎ。  そんな風に思うと、少し可笑しくなるけど。 「ありがと、ルカ。ごめんね……長々」 「ん。――――……まあ、オレは、役得っつーか?」 「――――……」 「お前、いつもよりめちゃくちゃやらしかったから。たまには良いな、あれ」 「……っ」 「たまにはぶっ飛ぶ位の方が、気持ち良いよな?」 「…………」  せっかく感謝してるのに……っ。  言い返すといっぱい返ってきそうなので、黙ってやり過ごそうとしているのだけれど。 「ねだる言葉、普段はなかなか聞けないもんな」  ……っまだ言うか!!! 「あの花はヤバいけど。 またなんか、甘い薬、使ってしようなー? 意識飛ばない位の。ちょっとだけ素直になるやつがいいな」 「…………もう、お礼言ったの、無しにして」  ぷい、とルカから顔を背けると。  ぷ、と笑うルカが、ベッドの上にちゃんと乗ってきて。  何をするのかと思ったら、オレを、後ろからすっぽり抱きしめた。  ルカの開いた足の間にオレを入れて、包むみたいに。 「嘘だよ。……あ、今度またなっつーのは嘘じゃねえけど」  クックッと笑いながら、オレのウエストに手を回して、更に、ぐ、と抱き寄せられる。 「……今日のは、ほんと心配した」 「――――……」 「……あんまり心配させんなよな」  肩にルカの顔が、ぶつかって、のっかってくる。   ものすごく、密着した状態で。  両手で持ってたコップを全部飲み干して下に置いてしまおうと思ったら、ルカが指先を少し動かして、魔法でオレの手からコップをさらい、テーブルまで運ぶ。 「すっごい便利……!」  うわー、こんな風にも使えるんだ。初めて見た。 「普段こんなのに使わねえけどな。歩いた方が楽」 「魔法って疲れるの?」 「集中するからな」  ふ、と笑ってそんな風に言う。  そうなんだ、と頷いていると。  さっきまでコップを持ってたから遠慮してくれてたみたいで。  今度は、めちゃくちゃ、ぴったりと、ぎゅ、と抱き締められる。  ルカは、服着てるけど。  オレ、裸なんだよなー…………。  まあいいか。ふとん、かかってるから……。      すっかり寄りかかってるみたいになってて。  ふと、顎に手がかかって、くい、と後ろを向かされる。  ぱっくり食べられるみたいにキスされて。 「っん…………っっ つか、ルカ、首、つる……っ」  いたたた、と、つりそうになった首を擦ると。  くっと、笑い出したルカが、背後で笑ってる。 「笑い事じゃないんだけど……」  言っても、まだ笑ってる。楽しそうに。

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