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「可愛い気が」

  「ルカ……」 「んー?」 「……眠くないの?」 「なんか変に興奮してたからか――――……目は冴えてる」  変に興奮……。  ――――……まあ確かに。  ものすごい、変に興奮、してたなぁ……。 「ソラは寝れるなら寝た方がいいぞ」 「――――……オレも、眠くない」 「ならこうしてようぜ。この体勢、なんかいい」  ルカに完全に背中預けて、抱き締められて。かかってた布団を、上まで引き上げてる。  つまり、後ろはルカに包まれてて、前は、布団に包まれてて。 「うん。――――……オレもこれ、なんかいいかも……」  あったかいのと。  ――――……なんかものすごい、安心感。  ルカが少し笑う気配。  ふとすぐ近くにあるルカの顔を振り返ると。  ちゅ、と頬にキスされる。 「――――……あんまり可愛いと、押し倒すから、気をつけろよな」  そんなこと言いながら、するすると首筋から胸へと撫でられて。  少しぞくりと震える。  てか今のの何が、「あんまり可愛い」んだろう。  よくわかんない。……ていうか。 「……まだできるの?」 「さあ。――――……多分できるんじゃねえかな」 「ルカには薬とか、必要ないね……」  ちょっぴり怯えながら、そう言うと。  ルカはおかしそうに笑った。 「お前にするなら、必要ないかもな」 「――――……」  そうですか……。  もう何も答える気にならず、ルカに埋まっていると。  あ、と思い出した。 「ルカ?」 「ん?」 「オレがどの花に入ってるか、何で分かったの? 外から見て、膨らんでたとか??」 「ああ。――――……全然外からじゃ分からなかった。うようよ居たし」 「じゃあどうやって??」 「ミウがお前が飛んでった方にフワフワしてたんだよ、ちょうど、お前が吸い込まれた辺りで。 だから、ソラどこに居る?て聞いてみた」 「うん」 「そしたら、ミウが、一つの上に、飛び乗って。それでオレ、その花にだけ結界の魔法を張って、とりあえず、それ以外の花の、茎っつうか、足の部分を、リアの炎と風合わせてなぎ倒して――――…… でお前のとこに飛んでって、上部分を斬って、開いた」 「あー、なるほど……」 「なるほどって何だよ?」 「中で、色々思ってたんだ。 ルカがミウを呼ぶ声がして、その後なんか揺れて、それからなんか光って。少し熱い気がして――――……それから、上が開いて、風がすくいあげてくれた。今のルカの言葉で、全部、すごい納得」 「へえ、結構起こった事、正確に伝わってたんだな」  クックッと、ルカが笑う。  ルカが揺れるのが、なんか、背中から、全部、体に伝わってくる。 「……うん。伝わってた」  ルカが、焦ったみたいに声出してるのも。  助けられた時。――――……めちゃくちゃきつく、抱き締めてくれたのも。 「ルカ」 「ん?」 「――――……オレ、今、すごく疲れてて」 「ん。だろうな」 「……だからもう、今は、されたくないんだけど……」 「さすがにするつもりねえけど?」  んだよ? と、ルカが少しオレを覗き込もうと顔を傾けてくる。  くる、と向きを変えて、ルカと向かい合わせになってみた。  胸板にちょっと手をついて、そのまま、すっぽりはまる。 「――――……なに、ソラ」  ルカが、頭の上で、そう聞いてくる。 「……こっちでもいい?」 「――――……」  胸板、気持ちいい。  なんか固くて。熱くて。弾力あって。  ……とか、変態か、オレ。  でもなんか。  すごい、安心、する。 「――――……これで、すんなって、言うの、お前」  ルカの声が、ちょっと、ため息まじり。 「うん。言う……だって疲れてるし……」 「……拷問みてえだけど」  そんな言葉に、ルカを見上げると。  ふてくされてるみたいで、少し……ちょっと。  ……ほんの少しだけ、可愛い。気がする。  

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