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「ルカの腕枕」

 しばらく、そのままルカにくっついたまま、瞳を閉じてた。  腕枕って。  ……なんか、ほんと暖かくて、安心するものなんだなー……。  オレ男だけど。  ……最初は抵抗あったけど、その抵抗が無くなってしまえば、すごく良い気がする。 「ルカ……」 「ん?」 「――――……カジノ、行かないの」 「……いつでも行けるし」  静かな声。  ――――……こういう時のルカって、穏やかで。  結構いいな……。 「……ルカってさ」 「――――……ん」 「…………こうやって、腕枕、ずっとしてきた?」 「……ん?」 「……オレ、あんまり、してあげてこなかったからさ……」 「――――……」  隣には寝てたけど。  腕枕って。した事ないかも。  別にすごく嫌だったとかじゃなくて、しようっていう気持ちが無かったのかも。  こんなに気持ちいいなら、してあげれば良かったなあ。  何人か、一緒に寝てた子達が浮かんでくる。  でもまあ。なんか……あれだけどね。  ルカみたいに逞しいと、乗っかってても安心するというかそんな感じだけど。  オレがしてても、もしかしたら、寝辛くて退けられてたかもしれないとか、ちょっと思っちゃうと、ぷぷっとおかしくなってしまうけど。 「……誰の事考えてンだよ」 「ん? ああ……昔、一緒に寝てた子達」 「――――……」 「……こうやってたら――――……もっとずっと居たかなあとか思って」  別に、別れた事を今悲しむ程の付き合いは出来ていなかったけど。  ルカがオレにしてくれるみたいに、優しくしたり、世話してあげたり、こんな風に抱き締めてたり、してたら。  もっと誰かとずっと居たかもなー……なんて思うんだよね。  ルカってあれこれ横暴だったりするけど。  そういうとこ除いて、いいとこだけ真似したらモテそう……。 「……なんだそれ」 「え?」 「――――……誰かとずっと居たかったて言ってんの?」  抑揚のない声で、ルカがそう言う。 「それとも――――……」  不意に少し起き上がったルカに、背中を枕に沈められて。  斜め上から見下ろされる。 「……お前が、オレとずっと居たいって言ってんの?」 「――――……」 「どっち? ――――……答えによったら、お前、宴、出れないけど」 「え? え、どういうこと……」 「とにかく、どっち?」  強い、まっすぐな視線。  宴出れないって。どういうこと?  オレ今何かまずいこと、言ったっけ。ルカ、怒りかけ……なのかな??  えーっと……。  「誰かとずっと居たかった」って言ってるか、  「ルカとずっと居たい」って言ってるか?  どっちっていうか……どっちも違う気がする。  オレ今そんな風には、何も考えてなかった。  ルカみたいに、こういう風に女の子と接してたら、別れるとか無かったのかなあ。と。過去の自分をちょっと反省してたというか。それだけだったんだけど。 「……あのさ、ルカ」 「――――……」 「ルカみたいにしてたら、モテるだろうなって、思ってただけで」 「――――……」 「今ルカの言った2つは、考えてなかった、んだけど……?」  だめだ、全然、納得してくれてない。  この答えじゃダメみたいだ。  じっと見つめられてる。

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