123 / 290

「美味しくできました♡」

 大分いい色になってきた。  ますますいい匂いが漂ってる。 「ジェイ、もういいかも?」 「少し開けるな」 「うん」  中を見せてくれるので、のぞくと、うん、良い焼き色。 「大丈夫だと思うー!」 「OK」  出してくれて、台の上に乗せてくれる。 「美味しそうかも…… ルカルカルカ! 早く早く!」 「ん」  クスクス笑いながらルカがオレの隣に並ぶ。  見た目はめっちゃクッキーだ!ってまあ、当たり前だけど。  色々材料も、焼く窯とかも色々違うし。ちゃんとクッキーになるかも心配だったから。   「ちょっといっこ味見して?」  ルカとジェイが、ん、と頷いて。まずジェイがふーふーしながら口に入れる。 「――――……ああ。イケるな」  先に食べたジェイが言って。それを見てから、ルカも口に入れる。  ルカの顔が、お、と眉を上げた感じになる。  すぐにオレの方を見て。 「お前が甘すぎるって言ってるの分かる。こっちのが、美味いな」  ふ、とルカが笑ってくれる。  どき。  何だか嬉しいなと思ったら、心臓が音を立てた。 「オ、レも食べる……」  ドキドキを隠しつつ、1つ手に取って、口に入れてみる。  うわー。ほんとにうまくできたな。さくさく美味しー。  さっきの分量……大体だったけどあれくらいでオッケイって事だなぁ。    「はは。これ、可愛いな」  ちゃんとクマとミウになってるクッキーを指さして、ふ、とルカが笑う。 「食べ物って、栄養があって食べれればいいとか思ってたけどな。こんな可愛いのも、ありかもな」  ルカのそんな台詞に、ちょっと不思議になってしまう。 「可愛いって思ってくれるの?」  ちょっと意外。そう思いながら聞いた。  そしたら、ルカ、隣のオレを見下ろして、ふ、と笑んだ。 「お前が一生懸命作ってるの見てたし。 余計可愛い」 「――――……っ」    ぼぼぼ。  ……不意打ちのセリフに、なんでだか、かあっと熱くなる。   「まあそれ見てなくても、リアとか女子供は喜ぶだろ」  すぐに俯いたから、オレが赤くなってるとかには気づかず、ルカがクスクス笑いながらそう続ける。 「うん、そう、だよね」 「ああ。リアに持ってってやれば?」 「あ、うん」  頷くと、ジェイも。 「人の前で、イチャついてねーでさ。これ、上行って、他の奴らにも味見してもらってきたら?」 「あ、うん」  ていうかイチャついては、ない。  眉を顰めつつ、ジェイに返事をしていると。 「これで好評なら、明日オレにこれの作り方ちゃんと教えてよ」 「え、オレが教えるの?」 「他に誰がいるんだよ」 「え……いい? ルカ」 「ああ。いいよ――――……まあ好評だったらな? とにかく、持ってってみろよ」 「うん!」  あ。そうだ。チョコの実入りのやつはどうなんだろ。  ぱく、といっこ食べてみる。 「あ、美味しいかも……ルカ、食べて?」 「チョコの実のやつ?」 「うん。ジェイも食べて?」  ルカとジェイがぱく、と口に入れる。 「もうちょっと砂糖を抑えてもいいかなあ?」 「オレはこれでも全然いーけど。 ふうん、チョコの実入れるとか考えなかったけど……うまいな、これ」  ジェイが味見ながらそんな風に言う。 「ルカは?」  聞くと。 「いいんじゃないか?」 「おいしい?」  聞くと。 ん、と、笑ってくれる。 「やった」  すっごい嬉しい。 「この皿に乗っけて持って行きな?」 「うん、ありがと」  ジェイの出してくれた大きめの平たい皿にクッキーを並べながら。 「こっちが卵塗ったので、これが塗ってない方」 「……あー、なるほど。テカテカすんのな」 「おいしそうでしょ?」 「ん、そうだな」  そんな会話をしながら、皆の居る部屋に持って行った。  評価は、上々。  皆おいしいって。でもって、クマやミウは、食べるのがかわいそうな位可愛いって。  ただ、よっぱらってる人が大半だったので、残ったクッキーを明日袋に詰めて配りながら、感想とか聞く事になった。  で、分量とか調節して、ジェイと一緒に、売れるお菓子を作ろうって事になった。  わあい、楽しー。  かなり、ウキウキしてしまう。      思いもかけずお菓子作れて、すっごく楽しかった。

ともだちにシェアしよう!