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「つよすぎなお酒…」
「これなんの酒だよ?」
「すっげえつっよい酒」
ルカが聞くと、アランがそんな風に言う。
「オレが今まで飲んだ中で、一番強いと思う酒」
「オレもそう思ってる」
アランの言葉に、ジェイも頷く。
皆興味津々。
「一口でもかなり酔うんじゃねえかな」
「そうなのか?」
ジェイが、蓋を開けて、「ソラ、そーっと、かいでみろよ」とオレに向けてくる。
飲むんじゃなくて、かぐだけでいいならと思って、ん、と受け取って。
「そーっとだぞ、思い切り吸うなよ?」
「何? 吸うだけでしょ?」
「すこーしだぞ」
ジェイにしつこく言われながら、すう、と軽く吸い込もうとして。
「ぅっ けほっ……っ!」
軽くすら、最後まで吸えなかった。
……凶器だ。これ。毒だ。毒。
「こほこほっ」
「ソラふざけてる?」
リアがクスクス笑いながら、酒瓶を持って、軽く吸って、うえ、という顔。
「きっつ、これ……飲んでいいものなの?」
リアもすっごい嫌そうに訴えてる。
「一応飲み物。強い酒ないのとか言う奴がいると、出してくる」
何だろ、この酒。感じとしては、ウォッカとか。そんな感じかな。
飲んだら絶対、喉が焼けそう。
「前に1口飲んだアランが、倒れたよなー」
「3口位は飲んだぞ」
「ちげーだろ、1口の量を3回に分けて飲んだんだろ」
「まあそうともいうけど」
よくこんなもの、3口も口に入れたなと、アランを見てると。ルカが、その酒瓶を見ながら。
「名前とか何も書いてねーのな」
「じいちゃんとかその前から、受け継いでる酒」
「やばそうだな」
クスクス笑いながらルカが言う。
「……飲むの? ルカ」
「――――……でもオレもうアランとは勝負着いたしな。酔って寝ちまうのやだしな」
「オレ、ルカが酔っぱらってるとこ見た記憶ねえなあ」
ゴウがそんな事を言い出す。
「そういわれてみるとオレも」
キースも言う。リアも、「あたしもー」と、皆が言う。
「飲んでみれば? 酔っぱらったら介抱するって、ソラが」
ゴウが笑いながら言う。
「え、オレ?」
「するだろ?」
「……するけど」
え。何で皆、飲ませたそうなの?
「オレ、ルカが全然平気で飲むとこ見たいなー」
アランが、ルカを乗せようと頑張ってるし。
「――――……お前らどーしても飲ませたそうだな」
ルカの呆れたようなセリフに、皆、あはは、と苦笑い。
「そんな吸うだけで強い酒、ルカが飲めるか知りたい」
「分かる分かるー」
ゴウやリアは、なんだかんだ結構飲んでるせいなのか、悪乗り中……。
ルカだって、それ、分かってるだろうし。
乗らないよね?
「ルカ、こんな強い飲み物、飲まない方が……」
「ん?」
「……あっついよ、喉。吸っただけで……」
「ふーん……」
オレは止めた。止めたよね?
なのに何で、ちょっと楽しそうになってるんだか、全然分かんない。
「……まいっか、1口な。アランもゴウもキースもちょっとは飲め。ジェイは? 酒強いのか?」
皆超嫌そうに顔をしかめてるけど。
結局、皆で飲む事になったらしい。
リアとオレを除いて。
小さなコップに、ほんとに少しずつ。ルカだけなんでなのかちょっとだけ多いし。
「これ、一気に喉に流し込んだ方がいいぞー、口に残しとくと、死ぬぞ」
アランの言葉。
「え。……やめたら? オレ全員介抱やだよ? ねえ、リア、やだよね?」
言ってるのに、リアは、あははー、それ面白いねえ、とか笑っている。
………嘘でしょ。
「じゃーいくぞー」
「せーの」
「かんぱーい!!!」
さっきまで、嫌そうだったのに。
結局皆は、めちゃくちゃ楽しそうに、酒を煽った。
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