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「酔ってるよね…」

   その瞬間。風がキースの体を包んで、ふわりと浮いた。  あ。ルカの魔法、だ……。  もー、早く気付いてよー、最初からやってよー……。  キースは、ゴウたち3人の所に押し付けられた。 「ゴウ、キース連れて帰れ」 「あー? やだよ、こいつ意外と重いんだぜ?」 「アランとジェイに手伝わせろ。頼んだ」  ルカがそう言って、キースを押し付けた。  そうしながら、腕を引いてオレを起き上がらせてくれた。 「ありがと、ルカ……」  言った瞬間。めちゃくちゃ至近距離に引き寄せられた。 「ありがとじゃねえだろ」 「え」 「なにお前、キースに組み敷かれてんだよ」  目が。据わってるし……。  違うよう、そうじゃないんだよう……。  何でいつも見てるくせに、倒れたとこ見てないんだよう。  見ててくれたら、オレがかわいそうな被害者だって、分かるだろうに……。 「先、宿帰る」  ルカが皆にそう言い、オレはぐい、と引かれてついて歩く。 「ルカ……」 「……なに」 「……怒ってんの? あれ、オレ、倒されただけだよ……」 「分かってる」  星のキレイな夜道を、こんな訳の分からない事で怒られながら、何でオレ、引きずられるみたいな気分で歩かないといけないんだろう……。 「……何も、してないよ?」 「分かってる」 「……キース、半分寝てただけだよ?……」 「分かってる」  一応分かってはくれているのか。  ……すこしホッとしつつも。 「……でも怒ってるの?」 「怒ってる」  理不尽だなあ、ルカ……。  宿にたどり着いて、部屋に入って鍵を掛けて。  そのまま、ドアに背を、押し付けられた。 「――――……」  振り仰ぐと同時に、キスされた。  しかも、かけらも容赦のない、キス。 「……ん、んんっ」  ルカの、舌。いつもよりかなり、熱い。  服の下に滑り込んでくる手も、熱すぎる。 「……ん、ふ、ぁ……っ」  一気に熱くなる。  ――――……ルカの舌や手の熱さにやられて、どろどろに、溶けそう。 「……っ……ん……ン……」 「……分かってても――――……ムカつくの分かるか?」 「……ん……?」  舌が外れると同時にそんな事を言われる。  でも、全然頭が働かなくて、え?とルカを見上げていると。 「……分かんねえ?」 「……」 「……オレが、誰か女、組み敷いてても、平気?」 「――――……」  少し考えて、プルプルと首を横に振ってしまう。 「……見たくない」  何でかは分かんないけど。  全然見たくない。 「……お前、それ、したけど」 「……え、でもあれは……」  ぐい、と顎を掴まれて、引き寄せられる。 「あれは、何。 した事には変わらねえだろ」  あれは……オレ、踏み潰されてただけで……。  ルカの言ってるのとは、全然違うのに……。 「お前、オレのだろ?」 「……ん……っ」  言いながら、めちゃくちゃ舌が入ってきて、キスされる。 「……オレのって言って」  は、と息を付いた所で、また舌を絡め取られる。  なんか。  甘えんぼが、駄々こねてるみたいな言い方、して。  ……超、目が据わってる。  ――――……ルカさ。  すげー分かりにくいけど…… 酔ってる、よね……。  寝るでもなく。うるさくなるでもなく。  こういう酔い方なんだ……。 「……ん、ンン――――……ぁっ」  めちゃくちゃ深く、舌を絡められて、内股にかかった手に、ぐい、と脚を開かれて。  ……めちゃくちゃ、焦る。   もう、今日――――……キスばっかり、深くされて、そのまま離されて。  なんか……すっごくゾクゾクしてるのに。  熱い、舌。指。  ……わーん、助けて―……。

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