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「この世界」

 少しワクワクしてるオレの前で、ルカが言ったのは。 「ソラ、オレのにするから」  そんな、言葉だった。 「――――……え?」  ぽかん、と口を開けたオレ。  リアたちが、何秒か置いた後、なんなのー、みたいな声で口々に、騒いでる。 「今更な事、何で改まって言うんだよ」 「大事な事言うのかと、身構えたけど」 「そうよ、何、今更?」  ゴウとキースとリア。3人の言葉に。  オレも正直そう思ってしまった。  ルカは、3人とオレの顔を見て、苦笑い。 「今までは、魔王を倒すかソラが帰るまで、それまでは守るから一緒にって、オレは言ってたから」 「何が、変わったの?」 「ずっと、一緒に居させたいから、その方法を、探す」 「どーやって?」 「分かんねえけど。――――……元の世界と行き来できるなら一番、ソラは良いんだろうけど。分かんねえし。……まあ、最終的にソラが選べるとしたら、どっちの世界を選ぶかはソラ次第だけどな」 「――――……ルカ……?」  選べるならオレ次第。  ……選べるとか、そんな選択肢があると思ってなかったので、ただルカを見上げてしまう。 「とりあえず、ソラがこっちに居るなら、オレはソラとずっと居るから。そのつもりでいろよな」  ルカのよく分からない宣言に。  3人は、ぷ、と笑って、顔を見合わせた。 「そんな事は、もう知ってたけどね」 「ルカ、結婚とか言ってただろうが」 「そうよ。今更ー」 「……オレはそうだったけど。ソラがさっき、出来る限りオレと居るって言ったから。余計、だな」  ルカの言葉に、3人が同時に、「え」と言って、オレを見つめる。 「そうなの?」 「あ……うん、言った……」  言ったけど……。  ここに居れるかどうかとか。もう未知で分かんないけど……。  オレが、はっきり、「ずっと居る」とも言い切れずに困ってると。  ルカは、ふ、と笑って、オレの頭を撫でた。 「まだ、出来る限りって事だけど。……とりあえず、ソラがこっちに居る限り、オレのだし、オレも他の奴のとこにはいかねーから」  ルカのその発言に。  3人は今度は言葉もなく、ルカを見てる。 「……は? 何だよ?」  ルカが不機嫌をあらわにして、皆を見返すと。  皆、苦笑い。 「……っそっちのがびっくりだろうが。そっちを先に言えよ」  ゴウが可笑しそうに笑いながら、そんな風に言って。  ルカが嫌そうに睨んでる。 「まあソラに会ってからは、そんな感じだったけどね」  リアはおかしそうにクスクス笑って、オレとルカを見比べている。  それから、にっこり微笑みながら、オレに。 「……ソラは居れるなら、ここにずっと居たい?」  そんな風に、聞かれたのは、初めて。  ――――……思えば、この件について、皆、何も触れずに、一緒に居てくれたんだなあと、今、気づいた。 「――――……オレ、元の世界ももちろん大事だし……何で来たのかわかんないし、どうしていいか分かんないけど…… この世界も好きだよ。皆も、すごく、好き」  そう言ったら。  リアはふふ、と優しく笑って、頷いた。 「とりあえず、まずは調べられる限り、情報集めてみるしかない。ソラの事は言わず、それ以外は触れ回っても構わねえから、集めさせてくれ」  ルカの言葉に、3人がそれぞれ、頷く。  あんな光に、突然連れてこられたこの現象を、調べるなんて、出来るのかな。そう思うんだけど。  ――――……オレの為に、調べてくれるんだと思うと。  なんか、すごく、嬉しいなと。思ってしまう。    

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