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「オレ?>姫」

 ルカが出て行って、少しの沈黙の後。  ジェイがオレをじっと見てきた。 「ん? 何?」 「――――……ソラが嬉しいなら、ダメな訳がない、だってさ」  ジェイの言葉に、ん? と首を傾げると。 「そういうのは、平気で言うんだなーと思って」  く、と笑うジェイ。 「――――……」  確かに。  いつも、そんなようなことは、そういえば、言うような気がする。  やりたいなら。ほしいなら。ミウも、飼いたいなら。とか。  いつも。オレがしたいなら、て。言ってくれてるような気がする。   「……そう、だね」  ほんと。いつも、からかうし。  ――――……意地悪だし。キスばっかするし。エロいことばっかするし。  ヤキモチばっかやくし。自分勝手にオレを動かすけど。  …………なんか、ちょこちょこ飛んでくる優しさが。  急に、オレの好きに、させてくれるとことか。  オレがやりたいなら、とか。なんか。  ……毎回気持ちは、あっちこっち、ムカついたり、喜んだり、  ものすごく揺さぶられるけど。 「まあ、ソラがルカを好きになるのは分かる」 「え」 「あんだけ大事そうに見られてたら、男が嫌でも、好きになっちまうよなー」 「――――……っ」  可笑しそうに笑われて、言葉につまる。  ジェイって、恥ずかしいコト平気で突き付けてくるから、  返答に、すごい困る。  答えられずにいると、くす、と笑って。 「まあ、強烈な奴には、引きずられるよなあ」  あ、なんか。  ――――……すごいその言葉、しみじみ分かる。  ほんとルカって。  ……特別、強烈な感じがするから。  なんだか、どうしても、最初から、勝てないんだよね……。  あんな人、中々居ないと思う。 「さて。お前の王子が、お前のクッキー待ってるし。準備しよ」 「……ん」  お前の王子とか言われると、なんだかなって感じがするけど。  苦笑いで頷く。  王子と名の付く男の相手は、「姫」だって。  疑いもしない位当然なんだけど。  ……姫じゃなくて、オレ?  て思うと。やっぱり。  うーーーん??てなるんだけど。  複雑な想いを、もやもや抱えながら。  ジェイと色々包んだりして、お菓子とお茶タイムの準備もして、ミウとジェイと一緒に店を出た。外からの階段を下りて、地下のルカ達の元へ。 「ルカー?」  船の中に居るのか姿が見えないルカに、呼びかけたら。 「ソラこっち」  声がする方に近付いて、船の中を覗き込んだ瞬間。  ぐい、と引かれて、驚いてる唇に――――……。 「ル……」  ルカの唇が、重なる。  重なった瞬間、舌が入ってきて。 「……ンん……っ……?」  激しすぎて、声が漏れる。  舌、吸われて、ぴく、と震えた瞬間。 「ソラ、居たかー? ――――……っと。なにしてンの、お前ら」  ジェイの呆れたような声。  そう言いながらも、出て行ってくれるわけじゃなくて、全然気にしないで入ってくるところが、この世界の人っぽい……。 「おせーし、来るの」  ルカにぐい、と肩を抱かれて、なんか、すっかり密着させられてる。 「遅い、ソラ。もー焼けてたんだし、さっさと来いよ。すげー待ったけど」 「……ごめん」  そんなに待ってたのか、と思って、思わずそう言ったら。  ふ、と笑ったルカに、ちゅ、とキスされた。 「さっきの食わせろよ」 「あ、うん」 「お茶入れて持ってきてやったんだよ。そういうのもあって来るの遅くなったんだっつの。な? ソラ?」  ジェイが、ルカに飲み物を見せながら、オレにそう言う。 「うん」 「そか。じゃ、食おーぜ、ソラ」  船の中に大きめのテーブルが置いてあって、丸い木の椅子が周りに何個も置いてある。 「ジェイ、他の奴呼んできてくれよ」 「はいはい」  ジェイが姿を消すと、ルカは、オレを隣に座らせて。  頬に触れた。  ……ん?? なに?  何か、ものすごい、じーっと、見つめられる。

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