149 / 290

「オレ様王子」

「何か、お前、変な顔してねえ?」 「――――……してないよ?」  そう答えるけど、ルカはじっと見つめたまま、ふ、と笑う。 「してるだろうが」  ぷに、と、頬を摘ままれる。 「言えよ、何?」  まっすぐ至近距離で見つめられる。 「――――……」  変な顔。……してるとしたら、さっき考えてたあれかなあ……。  オレって、そんなに顔に出ちゃうのかなあ。と思いながら。  んー、何て言えば、とためらっていると。   「んな顔して、なんだっつーの? 早く言えよ」  うう。  ごまかせそうにないので、さっきから、もやもやしてた事を、口に出す事にしてみた。 「……ルカ、ってさ」 「うん?」 「……王子さま、じゃん?」 「そーだな?」 「王子の隣はさ、『姫』って、決まってるよね?」  こんな事言って、「そうだな」とか言われて、姫の所に行かれたらどうしようかなーなんて、密かに思いながら、そう言ったら。 「……ん? 誰が決めたンだ?」 「――――……」  え。……誰?  ……絵本で見た?? ……ていうか、決まってるよね? 「お前の世界は知らねーけど、ここは、オレがトップだけど? 海超えたとこに別の国ができてて、行った事もあるけど――――……オレの国には関係ねえし。オレの横に居るのは、お前でいーけど?」 「……どっかから、文句は……」 「来る訳ねえじゃん。来ても、黙らす」 「……ルカの後は、誰が継ぐの?」 「優秀な奴が継げばよくねえ? 死ぬ前にオレが選ぶか、誰かに託すか」 「――――……」  言い淀むこともなく、ポンポン答えられてしまうので。  質問が尽きて。 「……うん。分かった」  そう言うと。  ルカ、ぷ、と笑って。  また、深くキスされる。 「のんきそうな顔してるのに、結構色々気に病むのな、お前」  ぶに、と頬を摘ままれる。  鮮やかに笑うルカに、思わず、苦笑い。 「……もう平気」  なんか。気に病むとか、あほらしくなる。  ルカはルカで、王子で、オレ様で。  ルカが決めた事は、ルカしか変えられない。    なんかもう――――……いいかなあ。  考えなくて。  こっちの世界は男同士とかあんまり関係なくて。  ルカの国は何だか、色々自由で。これはトップのルカが自由だからな気がするけど。  オレは、こんなオレ様なルカが――――……。 「どーでもいいこと考えてねえで、お前はオレの前で楽しそうに笑ってればいいから」  ――――……こんな恥ずかしいこと、平気でまっすぐ言う、ルカが。 「……うん。分かった」  何だかすごく、勝手に、めちゃくちゃ笑顔になっちゃう位。  ……気に入っちゃってる、みたい。  ルカの胸元掴んで、くい、と引いた。 「――――……」  ちゅ、とキスしたら。  一瞬黙ったルカに、背中に手を置かれて、抱き寄せられた。 「ん、やるか」 「え」  ルカの手が、服の下から滑り込んでくる。  うわ、何考えてんの。 「えっ、むり、だって皆来る……ん、む……っ」 「やってたら出てくはず」  深く唇重ねられて、言葉奪われて、手が、胸に――――……っ。  いや、ここの人たち、平気で入ってくる可能性もあるから……っ。  わーん、やだー!!

ともだちにシェアしよう!