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「ヤキモチとか」

 そう、だなあ……。  これでも、まあ……楽しいと言えば楽しいし、いいんだけど。  でもなんか、違和感が。  ……あ。やっぱり。  リアとお茶タイムしたいなあ。リアとミウと、3人……2人と1匹で。    これ可愛いーとか。きっともっと楽しみながら、食べれる気がするんだけど。  まあ今のこのメンバーが、可愛い―とか言ってキャッキャッて言い出したら、びっくりだけど。  なんて思いはじめたら、今の状況が、面白すぎて、1人、笑んでいると。  またミウがオレの顔を見て、おんなじ感じで笑ってる。  美味しい?と聞くと、みゃ、と返事。  ……ああ、可愛い。  もう1個クマさんのクッキーをあげちゃおう。 「ミウ、これ、クマさんだから、食べてね」  なんか。  ミウとしゃべる時、どうも、赤ちゃんと話すような口調になってしまう。  はっと気づくと、ちょっと恥ずかしい気もするけど。  ……可愛いから、しょうがないよね、うん。 「あんまりミウばっかり可愛がってると、王子が拗ねるぞー」  またジェイがアホなことを言ってる。  ジェイをちら見してから、そんな訳ないし、とルカを見上げると。  顔が、笑ってはいない。  ん? ……うそでしょ? 「……そ、んな訳ないよね?」 「……あるけど?」  言いながら、ぷ、と笑うルカ。笑うから冗談なのかな。でもルカだからな。ちょっと怪しいぞ。  そんなオレ達を見て、アランとジェイも可笑しそうに笑ってるし、そのやりとりを不思議そうに見てる周りの人達にまで、説明しだすし。  いやいや説明しなくていーから……と思いながら、腕の中のミウを撫でつつ、ルカを見るけど。  本気なのか、冗談なのか、やっぱりいまいち分からない。  謎だ、ルカ……。  悩んでいると。 「ソラ、それは? リアたちのか?」  ルカが、オレの前に置いてある3つの包みを見ながら言う。 「あ、うん。そう。ここで食べたらリアのとこ行っていい?」  そう言うと、ルカは、ふ、と笑う。 「いいよ。オレも行く」 「キースとゴウは、大丈夫かな」 「大丈夫だろ」 「即答だね。心配、してない?」 「まあ。2人、強いからな」 「そっか」  信じてるんだなあ、迷いなく。ゴウたちも、そうだろうし。  そう思うと、なんか、ほんと、カッコいいなあと、思ってしまう。  ――――……居なかったしな、こんな風に戦う人達。   「何だよ? じー、と見て?」 「……ううん、何か……自分より大きなのと、身一つで戦うとか、ほんとすごいなあと思ってて」 「惚れる?」 「……今はゴウたちの話だし」 「ふーん」    ルカはクスクス笑ってる。 「ルカ王子は、この子とそういう仲なの?」  さっき、ジェイ達から妙な説明を聞いてた3人が、そう聞いてくる。 「そー。名前、ソラだよ。 ……ソラにちょっかいかけると、すげー怒られるから」  アランが、ニヤニヤ笑いながらそんな事を言う。 「ルカに飽きたら、オレとしよって誘ってるんだけどな……っいった!」  またアホなこと言い出してると思った瞬間、突然アランが叫んで。 「蹴んなよ、ルカ! いってー」  テーブルの下で、ルカがアランの足を蹴飛ばしたらしい。 「ああ、当たった?」 「――――……こいつ……ほんと毎回……」  いってーな、もう、とアランがブツブツ言って、ジェイに、お前ほんとにやめときゃいーのに、と笑われている。  ――――……アランて、なんか、色々懲りないな……。 「ソラ、こんな奴やめてオレにしときな、優しいよ、オレの方が絶対」 「――――……お前、もーソラに話しかけんな」  オレはルカに引きずり寄せられる。 「ああ、ルカ王子がこんな感じってことが、よく分かった」 「今のやりとり、わっかりやすいなー。アラン、よくやった」  そこで見てた3人も、ジェイと一緒に笑ってる。 「別にオレ、そんなつもりでやってたわけじゃねーけど」  アランは苦笑いで、そう言う。  ほんと、ルカって、ヤキモチ、なにひとつ隠さないな。  普通、「嫉妬」って感情って……もーちょっと隠すよね??   やっぱり、ちょっと醜いっていうか。恥ずかしい感情な気がするし。  こんなに分かりやすい人、初めて見た。  なんかそんな風に思うと、抱えられてるのすら、面白くてしょうがないんだけど。  いっそこんなに清々しいと、ちょっと嬉しくなるものなんだろうか。  よく分からないけど。  一緒にルカに抱えられてるみたいなミウを撫でながら。  まだ続くルカとアランのやりとりに、ちょっと笑ってしまった。

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