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「どこが好き?」
「あ、そういえば、ルカ」
「ん?」
ジェイがまっすぐルカを見て、一言。
「ソラの何がそんなに好きなの?」
「――――……」
あ。さっき、聞くって言ってたやつ。
……何て、言うんだろう。ドキドキ。
思いながら、オレを引き寄せてるルカを下からちょっと見あげると。
ん、とオレを見下ろして。
「――――……さあ」
と首を傾げる。
さ、さあって……。
無いのかな?? ひどい……。
と思ったら。
「――――……言葉で言えるようなもんじゃねえし」
じっとオレを見つめながら、そう言って。
そのまま、ふ、と笑う。
「それは、ソラにだけ分かればいいよな?」
「――――……っ」
言葉を失ってるのは、オレだけじゃなくて。
聞いたジェイまで、なるほどー、と言うだけで、次の言葉を言わない。
しーん。
は、ずかしすぎる……。
「まあ。ソラがここに居るだけで良いと思う程度には、好きだけどな」
ここに、居るだけで良いって。
……きっと、ものすごく、色んな意味が含まれているんだろうけど。
他の皆にはその意味が分からないから。
ただ、オレが側に居るだけでいい、なんて。
めちゃくちゃ、ただただ甘い言葉みたいになってて。
「…………」
なんか皆、もー特に何も言わず、へー、と頷いている。
オレはと言えば。
恥ずかしいから俯くのみ。
な、なんか。好きなとこ、いっぱいあげられるより。
恥ずかしい気がする……。
「ソラ?」
「――――……っ」
顎、掴まれて、まっすぐ、見つめられる。
「つか、何でそんな真っ赤な訳」
「……恥ずかしくない方が、意味分かんない……」
そう言うと、ぷ、と笑うとともに。
そのまま、唇が重なってくる。
「……っや、だよ!!」
「はー?」
「皆が居るからやだ」
ルカの唇の上に手を置いて、ぐいー、と離す。
「何で、見られんの嫌なんだ? 別にキス位普通じゃねえ?」
「……普通じゃないっ」
「普通だよな?」
ルカがオレの手を捕らえながら、そこの皆に聞くと。
「別に全然気にしねーけど。キス位」
「……さすがにそれ以上はちょっとあれだけど」
はは、と笑う男たち。
「オレ混ざるよ?」
アランがクッと笑いながら言う。
……し、んじられない。
「……んなとこ、見せるかよ」
ルカがオレを自分の腕の中にまた引き戻す。
ていうか、キスとかは平気で皆の前でしようとするくせに。
まったくもって、意味が分かんない。
ルカを、よいしょ、と引き離しておいて。
「そろそろ、リアのとこ、行く? ルカ」
引き離されて面白く無さそうな顔をしていたルカは、ため息とともに頷いた。
「……おう。いーぜ、いこ」
オレは立ち上がって、ジェイに目を向ける。
「ジェイ、ここ、このままでいい? まだ食べてるでしょ?」
「ああ、いーぞ。片付けとくし」
「お茶まだ残ってる? リアに持って行きたい」
「ある。ほら」
ほい、と放られて、咄嗟過ぎて、あわわわ、としてると、ルカが目の前で軽く受け取って。呆れたようにオレを見下ろす。
「……こんなのも受け取れねえの?」
「……ごめん」
だって、このボトルでかいし…いきなりだったし……片手にお菓子持ってたから、受け取って割りたくないなと思ったし。むむむ。
心の中で言い訳してると。
「またいじめてるし」
ジェイが笑う。
「こんなの取れねー ソラも、ほんと可愛いなあーって、顔してるくせにな」
「――――……」
そんな顔してなかったけど。呆れてる感じで見られたけど??
と、ルカを見上げてから、ジェイに視線を向けて首を傾げると。
「受け取れねえの?て言われて、お前が俯いた後だよ」
クスクス笑うジェイに「だまっとけ」とルカ。
「ほら、ソラ、行くぞ」
ぐい、と引かれて。うん、と頷いて、ルカについて歩き出した。
あ、と気付いて上を見ると。
ミウがオレの上をぷかぷか飛びながらついてきていた。
ふふ。呼ばなくてもちゃんと、ついてくるんだな。
かわい、ミウ。
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