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「何だかなあ……」

 何だか本当に、絵本の世界みたいな。  ……ああ、だから、そうだ。ゲームの世界の、王子の部屋とかそのもので。  そんでもって、なんか、ルカにはこの豪華な部屋がすごく似合う気がして。  あれ、やっぱり、オレが側に居て良い人じゃ、ないのでは???  なんてちょっと思ってしまいながら。  部屋を見回していると。 「ソラ、こっち座れ」  呼ばれて、テーブルの方を指される。  近づくと、ルカの手が背中に触れて、こっち、と言われた所に座る。  オレの隣にルカが座って、ルカの目の前に、レジーが座った。 「ソラ、ですか?」 「あ、ソラです。レジーさん……」 「レジーで、大丈夫です」  オレが頷いた所で、ルカが話し出した。 「――――……こいつさ。別の世界から飛ばされてきたんだ」 「――――……」  ――――……まあ。なんとも。端的というか。  ……前置きとか、無いの? ……無いか。ルカだもんね。うん……。  そりゃそうだと思うんだけど、やっぱり驚いてるみたいで、レジーは少し目を見開いて、そのまま何も言わず。  黙ったまま、ルカをまっすぐに見つめた。  それから、静かに視線を流して。  今度は、オレをまっすぐ、見つめる。  ……グレーの瞳。綺麗で。まっすぐで。   美形が多すぎ。この世界。まあ、キャラデザインに命かけてるゲームだった……。    頭良さそう。冷静な感じ。  ルカのこんな、突拍子もない、こんなセリフですら、なんかもう、全部、理解してるのかな、みたいに思ってしまう。  心の中の中まで見られてる感じがして。視線が逸らせないでいたら。  隣でルカが、くす、と笑った。 「ソラが緊張するから、そんな風に見んなよ」  ルカの手が伸びてきて、頬をぷに、と摘ままれる。  固まってたオレの体が、ちょっと解ける。 「ソラ、嘘はついてない。オレは信じてるから。その前提で聞いてくれると助かるんだけど」  オレを見つめながら、そんな風に言って、最後に、レジーに視線を向ける。  何だか意外そうな顔をして、ルカを見ていたレジーは、少しして、ふ、と笑んで、オレを見つめた。  でも、さっきよりは――――……何だか、少し、視線が柔らかい。 「――――……ではその前提で、聞きましょうか」  レジーが言って。  ルカは、オレの頬から頭に手を移して、クシャクシャ撫でながら。 「こいつさ、魔王と戦ってる時に、ど真ん中の空中から、いきなり落ちてきたんだ」  ――――……まあその通りなんだけど。  なんかもう少し言い方ないのかなー。  レジーの眉が寄っちゃったよ……。      なんかもう。  苦笑いが浮かびそう。オレ。 「……落ちてきた、ですか」 「としか言えない感じ。戦ってた場所は、魔王の城……洞窟みたいな場所で、天井は岩とかだから、すり抜けたりは出来ないし、もう本当に空中から落ちてきたとしか――――……で、こいつは、移動魔法も使えないし」 「――――……最初からちゃんと話して下さい」  レジーが、オレを見た。 「オレは、東京ってとこに住んでて。この世界にはないけど、テレビっていう色々見れるものを、見ててたんですけど…… そしたら、そのテレビが、急にものすごく、白く光って……爆発、するのかと思って固まってたら、その白い光に包まれて――――…… で、気づいたら、ルカの側に、落ちて……」 「そこで、初めて、出会ったんですか」 「はい」 「――――……で。ソラに気を取られてるうちに、魔王を取り逃がしたと?」  レジーは、ちら、とルカを見る。 「まあ、そりゃ魔王との戦いのど真ん中にいきなり落ちてきたソラに、少しは気を取られもしたけど……後少しだって余裕かましてたら、逃げられたっていうのが正しい」 「――――……」  最初、オレのせいに。してたのに。  ……もう、オレのせいには、しないんだ。  ………………むしろ、庇ってくれるんだ。   …………何だかなあ。ルカって……。  何だか少し、じーんとしてると。 「それで、言葉は悪いですけど、そんな怪しい出現をした彼と、どうすればそんな関係になるんですかね? 男の子自体、初ですよね?」  ふ、と息を付くレジーに、ルカは、はは、と笑った。 「男は初。――――……オレ、結婚してもいいかなと思ってるけど」  ああ。もう、次は、さっきのとは、別の意味で。  ………ほんっとーーに、何だかなあ、ルカ。  まだ落ちてきたしか、話してないのに、そんな事言って。  レジーがびっくりしちゃって、目を見開いてるし。

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