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「ルカのせい」

 外も。中も、便利な魔法で一瞬で清められて。  パッと見は、される前の状態に戻ったけれど。  ……なんか。  感覚だけ、すごくおかしい。  どうせ清めるなら、もうこの感覚までも、全部綺麗にしちゃってくんないかな……。  清めたオレにいつも通り服を着せてくれて、昼の用意してくると言って、ドアの外からワゴンを引いてくる。立ち上がろうと動いたら、そこに居ろよと言われて止められた。  ルカは、オレの目の前で、大きな窓を開いた。  風が流れて、長いカーテンが、ふわっと舞う。  ルカの髪が揺れて乱れて。邪魔そうに掻き上げる。 「――――……」  抱かれてる時によく。  上に居るルカが、邪魔そうに髪を掻き上げる時があって。  ――――……なんか。  それを思い出してしまう、と。  ただでさえ、おかしい体の感覚が。  余計に、おかしくなった気がする。  バルコニーにあるテーブルに、ルカが食事を並べてく。  ……そんな普通のことしてるルカに。  ――――……なんか。……めちゃくちゃ変なこと、考えてるし。  だってなんか。  優しくするとか、さっき言われたけど。  絶対、あれ、優しくは、ない。  ……触り方とかは優しいし。動きも、いつもみたいに激しくは、確かに、無かったんだけど。  なんかもう。  じっくりとゆっくりと。  ――――……もう、やだ、て言ってもやめてはくれないし。  やだって言うのも、キスされて、塞がれて。  優しい感じで、中、入れられて。  気持ちいいとこだけ、ゆっくり突かれて。  なんかずっと、優しいけど、熱すぎて。  終わっても、ずっと、体の中、じんわり、熱い。  何だよこれもう。  これだったら、激しく揺さぶられて、頭ん中真っ白になって、気を失っちゃうみたいになった方が、断然楽……。  わーん……。もう。  ルカのバカ……。ルカの変態……。ルカのどスケベ……。  右手で左腕を掴んで、ぎゅ、と力を入れる。自分の体、少し抱き締めるみたいに。   「ソラ?」  ルカが呼ぶ声と、ぎし、とベットが軋む音。 「……何か小さい感じになってっけど。どした?」  クスクス笑いながら、ルカの手がオレの頬に伸びてきた瞬間。  勝手に、びく、と体が震えた。 「――――……ソラ?」  オレに触れる少し手前で、ルカの手が止まった。   なんか。今触られるの、ほんとやだ。  ただでさえ、なんか――――……。  目を合わせられずに、俯いたら。  ふ、と笑んだ気配がして。 「来いよ」  その声に動くよりも早く、きつく抱きしめられてしまった。 「――――……っ……」 「どーした? ソラ」 「――――…………」  抱き締められて、耳元で囁かれると。 「――――……っ……」  かあっと、熱くなる。 「ソラ?」  顎を捕られて、上向かされる。 「何。エロい顔して」 「――――……っ」  オレの、せいじゃない。  ――――……全部、ルカが……。 「……物足りなかった?」  ふ、と笑って、ルカがそんな風に言う。  そんな訳ない。  ――――……ちゃんとイったし。ていうか、意味わかんない位、気持ちよくさせられたし。 「……激しい方が好き? ソラ」 「……違うし」 「そうか? まあどっちでも、いいけど」  クスクス笑うルカ。  ああもう。なんか。  ――――……悔しい。  ルカの首に腕を回して、ぐい、と引き寄せて。  深く、唇を重ねた。  すぐに舌が絡んできて。激しくキスされて――――……。 「……今すぐ入れてやろーか」 「――――……っ……」  く。  なんて言い方、するんだ。 ルカのバカ。 「ン? どーする?」  ムカつく。悔しい。 「――――……絶対やだ。しない」  首を振って。ルカの胸に手をついて、押し返す。  すると。ルカは面白そうに笑って。 「――――……はー。お前って……」  その手を掴まれて、押し倒されて。 「なん、だよ! もう……っしないってば……!」 「――――……ダメ。オレがしたい」 「……っ」  押し乗られて。  さっき終わったのに、と言いたい、のに。 「いい?」 「――――……っ」  頬に触れる手が熱くて。  ゾク、と、震える。 「良いって言って、ソラ」  なんかもう。  まっすぐな瞳に吸い込まれそう、なんて思う位。  目が、離せなくて。 「……ルカ……のバカ」 「……は?」 「……オレがこうなの――――…… マジで、全部、ルカのせいだから……」 「――――……」 「マジで、バカ……」  睨みながら言ったのに。  ルカは、く、と笑い出して。 「大丈夫、責任取るから」  そんな訳わかんない事言いながら。  唇、重ねてくる。  責任て。  ――――……ずっと居れるかも分かんないのに。  そんな風に頭を掠めるけど。  重なってくるキスに。  触れてくる手に。  ――――……もう、すぐに。全部、任せてしまった。

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