163 / 290

「ぜったい無理!」

 真昼間から。  何度、されたんだ。  しかも。  最後のは、まるで、容赦ないし。  ありえないけど、中途半端だった感覚は、めちゃくちゃ激しくされて、吹き飛んだというか。いまもう、あの変なじわじわした感覚は、無くなってる。  ……信じられない。オレ。ああされたかった、とか。  うう。信じたくない。    ルカにされるの。受け入れ過ぎだよね。  いいのか。これで。  脱がされた服をまた着させられて。  ひょい、と抱えられて、さっきルカが用意した、バルコニーのご飯の所に連れてこられた。  長ベンチみたいな椅子に座らされて、隣にルカが座る。 「飲み物。声枯れてる?」 「……」  誰のせいだー。もう。  最後、声、全然抑えられなかった。  仏頂面をしてると、オレンジ色の飲み物をグラスに入れて、渡してくれる。 「ん。飲め」 「……」  黙って受け取って、飲む。  あ。美味しいなこれ。  思った瞬間、微笑んだルカに、よしよし、と撫でられる。 「それうまい?」 「……うん」 「分かりやす……」  そう言って笑うルカに引き寄せられて、頬にキスされる。  ――――……この。  ナチュラルな。  特に今必要がないのにするキスって。  なんか大分慣れてきてしまったけれど。  よく考えたら、めちゃくちゃ恥ずかしいやつだし。  オレって、分かりやすい?  ――――……確かに今、美味しいなっとは思ったけど。  それで、よしよしされて、なぜキスされるんだろう。  ほんとルカと居ると。こういう接触が多すぎて。  ――――……いつも結構横暴で、ルカの言うことが絶対、だったりするくせに。  こういうのとか優しくてさ。ほかもちょくちょく優しくてさ。  はー。もう……。なんだかな。  そう思ってるのに。 「ソラ、口あけろ」  言われると、条件反射なのか、すんなり口を開けてるオレ。何か食べ物を入れられる。  ちょっと疑問に思いながらモグモグ食べてると、クッと笑われて。  笑われた所で、ふと我に返る。  食べ物、なんで食べさせるのかな。もういっつもあーんと口に入れられてるから、すっかり慣れてきてしまったけど。よく考えたら、日本でこれやってたら、絶対周りにどん引きされる。 「――――……疲れたろ」 「……ルカのせいだけどね」 「分かってるから、労ってる」 「……これ労ってくれてたんだ」  なんか言われた言葉が可笑しくて、くす、と笑いながら、隣のルカを見上げると。 「お前、きっと、オレはいつでもどこでも誰とでもやってたと思ってるんだろうけど」 「――――……」  はい。思ってます。  ……さすがに、言わないけど。 「まあ、オレがお前の立場だったら、そう思うだろうから別にいーけど」 「――――……」 「オレ、やる事色々あったし。まあ、モテるしな、やってはいたけど」 「――――……」 「お前にするみたいにはしてねーから」 「オレにするみたいって?」 「朝昼晩関係なくとか。外とか、何回も、とか?」  ……その特別が嬉しいかはどうかは微妙なんですけど。  心の中で、どん引きしながら、思っていると。 「一緒にずっと居て、食べさせたり、こんな風に張り付いてたり。お前がする事何でもやらせてやりたいって思ったり。……抱くわけでもないのに、抱き締めてたり。お前にしかしてねーから」 「――――……」 「この部屋に入れてんのも初めてだし」 「――――……」  うん。なんか、言った内、なんこかは。  ……ちょっと嬉しかったりするのも。あったかもしれない。 「何で?」 「ん?」 「……何でルカは、こんな会って少しのオレをさ」 「ん」 「そんな、特別みたいなこと、言うの?」 「――――……じゃあお前は?」 「ん?? オレ?」  ルカは、オレの頬に手を伸ばして、触れて。親指で、頬をなぞった。 「お前は? どんな男にでも抱かれたらついてって、食べさせられて、ずっと側に居て、ずっと好きにさせられて? それでも一緒に居るって」 「――――……」 「……どんな奴が相手でも、言うのか?」  なんか。  そんな風に聞かれると。  ぜ……っっったい、やだ。無理!  と思ってしまう。  あれれ? じゃあ、なんで?

ともだちにシェアしよう!