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「この世界」
「……誰にでもそんな事、言わないだろ?」
ふ、と笑ってルカはオレをまっすぐに見つめる。
それは、絶対、言わない。
だから、うん、と頷くと。
ルカはオレの頭をまた撫でる。
「そういう事じゃねえの? 多分、オレもそれと同じだ」
「――――……」
何だか何も言えなくなって、ただ、食事を続けていると。
「――――……お前さー」
「……?」
「……この場所に心当たり、ある?」
「――――……この場所?」
「この世界。元から知ってる?」
オレは、何も言わずに後ろを振り返った。
「――――……」
ルカの瞳と見つめ合う。
ゲームとか言わない方がいいかなとか、色々今まで思ってきたけど。
調べてくれるのに隠すのもどうかなと思ったり。
でも全然分かんないし、長い夢なのかもしれないし。
はっ。
なんか、オレ、あの時ゲームが爆発して、意識不明とかで、病院に居たりするのかな。そのせいでものすごく深い、長い夢だったりなんかして。
……なんかそんな話、聞いた事もあるような。
「オレ……全然、分かんないんだよ、ルカ」
もう、気持ちそのままに、そう言った。
「最初にここに居た時は、知ってる所なのかと思った、けど……」
「――――……」
「……その知ってる、ていうのは、作り物の世界だから――――……」
「――――……」
「……例えば……本の世界、みたいな……それと似てると思ったんだけど」
「――――……」
「ルカ達は生きてて、自分の意志で動いてるし。もうその時点で知ってる世界じゃないんだよ」
まっすぐ。
全部見通されそうな感じの、視線。
「だから、知ってるって言えるのか、分かんない」
そう答えたら。
ルカは、ふ、と笑った。
「……なんかお前、最初から、すんなり状況受け入れてるからさ」
「――――……」
頬に触れられて、そのまま見つめられる。
「全然戦いも知らないで育ってるのに、魔王とか魔物とか簡単に受け入れてるし。魔法もない世界だっつーのに、リアやキースの魔法を良く知ってて、喜んでるし。……まあ最初は何も考えないでぽわんと受け入れてるだけかとも思ったんだけど…… お前、何も考えてなさそうだし」
……な、なんて失礼な。
む、とすると。
ルカは、ぷ、と笑った。
「ほら。すぐそーやって全部顔に出る。単純でアホで、深く考えねーだけかなとも思うだろ」
……マジ、失礼すぎる。
むむむむむむ。
「まあ、冗談だけど」
どこから、どこまでがだよ!! 絶対本気だったし。
言わずに怒ってると、クックッと笑ってるルカに、抱き寄せられて。
ルカの胸に背が当たって。太い腕に抱き込まれる感じ。
「――――……そんで?」
「え?」
「今はお前は、ここは何だと思ってんの?」
「――――……長い夢、か…… じゃなかったら、向こうもこっちも世界があって、オレは、何でか、飛ばされちゃった、か」
「――――……ふうん」
ルカがぎゅー、と抱き締めてくる。
「お前の夢、ってことは、お前が目覚めたら、オレ達消えるのか?」
「――――……」
ええええー? 考えてなかったーーーー。
目が覚めたら、オレは元どおり、ていう方ばっかり考えてて、残ったルカ達がどうなるかまで、全く。
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