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「魔王と一緒?」

「レジー? どこだ?」  ルカが呼ぶ声が、ものすごく部屋で響く。 「――――……奥に居ますよ」  返事の聞こえる方に進む。この世界の本とか書物の全部がここに集まってるんだろうか、と思う程に、大量の本。  かなり奥まで進むと、一角に大きな机があって、そこにレジーがたくさんの書物を並べていた。 「うわ、すげえな……」  ルカがちょっと嫌そうに言う。 「遅いですよ。もう来ないのかと思いました」 「そんな訳ねえだろ」 「分かってますよ、ただの嫌味です」  にこりともしないで、レジーは、ルカを見上げてそう言い放つ。 「悪かったって……」  はー、とため息のルカ。  あ。一応、謝ってる。  ――――……ルカにとって、レジーって、そういう相手なんだ。  なんて、何となくそんな風に思う。 「……それで? 何か分かったか?」  ルカの言葉にレジーは、ふ、とため息をついた。 「……私は人からその類の話を聞いた事はありません。おそらく、普通の人は、誰にも言わないのでしょうね。ですから、もしかしたら他にも居るかもしれませんが、分かりません。ですので、もし居たとしても、その者たちがその後どうなったのかも分かりません」 「――――……ああ」  さっき言ってたなぁ。  じゃあ結局分かんないって事かな。 「じゃあ、レジーは今何を調べてるんだ?」  ルカがそう聞くと、レジーは、ため息をついた。   「どこかで見た気がしていたんです、光と共に、現れたという一文を」 「――――……誰が現れたんだ?」  意味深なレジーの言い方に、ルカが、静かに聞いた。  レジーはため息とともに。 「魔王ですよ」  そう言って、レジーは、まっすぐにルカを見つめた。 「……へー。魔王?」  ルカは、腕を組んで、考え込むみたいな動作。  珍しい仕草。……まじめに考える事あるんだなと、怒られそうな事を考えつつ。レジーの言葉を待っていると。 「ただの言い伝えです。一文だけで詳しくもない。ただ、後に魔王になる者が現れた時、見たこともない程に眩しく光った、という」 「――――……」  ルカが、ちら、とオレを見る。  魔王が現れた時、同じような、光……???  そう言われても……。 「……ソラ、魔王と関係……あるか?」 「無いと思うんだけど……」  見た事もないし。  そう思いながら言うと、ルカは考え深げにオレを見た。 「お前が見たあの姿って変異した姿だから、人間の姿をしている時は、全く違うけど……そっちとは関係あったりするのかな……?」 「いや。ないよ?」  ゲームデザインで見た事あるけど。  人間バージョンの姿も、全く知らないし、関わりありません。 「つかお前、魔王の人間版、見た事ねえだろ?」 「――――……だから……あの……本というか……」 「ああ――――……本、ね……」  ルカは首を傾げる。  その話がどうも分かんねえ、と。 「どういうことですか?」  レジーがルカを見てから、まっすぐオレを見てくる。

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