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第171話「皆と」

「なんかソラ、ちょっと久しぶりな感じ」  キースがオレに笑いかける。  ちょっと離れてただけなのに、オレもそう思ってた。  キースの言葉に反応して笑ってると、ゴウも、オレに顔を寄せてきて。 「うまかったぞ、差し入れ。ありがとな」  頭、ぐしゃぐしゃに撫でられる。  と。例によって例のごとく。ルカがゴウの手からオレを奪い返して、自分の手元に戻しながら。 「ほんとこりねーな、触んなって言ってんだよ」  呆れたような口調でルカが言う。  可笑しそうに皆が笑うのもいつも通り。 「――――……皆も、ソラを受け入れてるみたいですね」  ただ1人。多分、様子見でオレを見てるレジーが、オレ達のやり取りを見て、なるほど、と言う顔。 「ルカ、レジーに話したのか、ソラの事」  ゴウが苦笑い。ルカが頷くと。 「急に宙から現れたとか、見てなきゃなかなか信じないよな?」  ゴウがレジーにそう聞いた。 「そうですね――――……でもそれよりも」  レジーが、顎に手をかけて、考え深げに、そこで話を止めるので、皆がレジーを見てしばらく無言。 「王子が、べた惚れのようなのが、謎で」  数秒静まり返った後、皆がどっと笑う。  ルカは、「分かったんなら良いけど」とか言ってるだけだし。  オレは、なんだか、すごく恥ずかしくて、黙ってるけど。 「まあ、レジーが謎なのも分かるー」  と、リアが言う。 「あたし達だって、何日も過ごして、やっと、そういうルカに慣れてきたんだもん」  レジーは「とりあえず分かりました」と、微笑している。 「つーか、お前ら、何でこっち来たんだ?」  ルカが3人に向けてそう聞いた。 「あたしが迎えに行って、ルカとソラが城に居るって言ったら、2人も行きたいっていうから、そのままこっちに来ちゃった」 「ちょっと久々だしな」 「魔王の前からだから、結構帰ってなかったしね」  ゴウとキースが言うと、ルカは、ふ、と笑う。 「遊びに帰ってきたっつー事か」  ルカがそう言うと、皆、肩を竦めて笑ってる。 「どうせ明日の朝、アランのとこ行くなら、それと一緒でいいだろ」  ゴウのセリフに、ルカは、ああ、と頷いた。 「あ。――――……なあ、ソラ」  ゴウがオレを見て。ニヤ、と笑った。 「ルカの部屋、行った?」 「え? あ、うん」  頷くと、ゴウだけじゃなくて、キースとリアも、ああ、そう、みたいに面白そうな顔で頷く。 「……何?」 「いやいや、あのなー」  ゴウが楽しそうに話し出した所で、オレは、ルカにひょい、と引き寄せられた。 「さっきしたろ、オレの部屋に誰も入れてないって話。――――……お前が入ったか、確認してんだよ」 「――――……」  ああ、なるほど……。  ――――……ルカ、皆に聞いてみろって言ってたけど。  もう聞くまでもないな……。  こんな面白そうな顔になっちゃうほど、他の人、入れてないんだ。 「やっぱりソラは入れるのかよ」 「でも皆も入ってるんでしょ?」 「オレらは、入るよ。作戦会議とかは、むしろあそこだからね」  キースがそう言ってから、くす、と笑う。 「――――……それ以外の誰も、入ってない場所だよ」 「――――……」  ……何て答えればいいんだろう。  ――――……ていうか。  そんな大事な場所で、さっきしてた事を考えると、何とも言えない気分に陥るのだけれど。  ……でも、ルカは、あそこで抱きたかって言ってたしな。  うーん……?  オレが答えに悩んでると、リアがくす、と笑った。 「それで? ここで、ソラの事、何か分かった?」  リアが話題を変えてくれて、レジーとルカを見てそう言う。キースとゴウの視線も2人に集まった。

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