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「やる気」

   ジェイに、色々教わるのは、すごく楽しかった。  なんか、こっちの世界にしかない食べ物もたくさんあって、味見したり、調理の仕方を教わったり。いっぱいあって覚えきれなくなってきた頃、「基本は焼くと煮るさえ覚えとけば良いだろ」と、かなり大雑把なアドバイスももらった。  確かに。そうだな。それでいいや。  うんうん。  それで頷いてたら、アクセサリー屋から戻ってきてから、オレとジェイが色々やってるとこを見学してたルカが、呆れたように笑い出した。 「何だ、それ。ソラ、ちゃんと覚えろよ」 「いーじゃん、全部なんて無理」 「お前なあ……」  苦笑いのルカに、ジェイも笑う。 「ソラの顔がどんどん険しくなってくから、ここらにしとく。アランに聞きながら、実地で覚えろ」 「はーい」 「あ、でも調味料だけ説明しとくか」 「うん」  色んな調味料の味とか使い方とかを更に説明されている所に、リアとゴウがやって来た。 「お、ソラ、勉強中か」  ゴウが近づいてきて、そう言って笑う。 「うん。一応」 「船の間のご飯、ソラなんだもんね~頑張って~」 「うん」  にっこり笑って頷いてると、そこにキースも入ってきた。 「店の方に居ないから、まだなのかと思った。ソラ、教わってるとこ?」 「うん」  頷くと、ジェイがオレを見つめて、笑う。 「まあでももう終わりにしよっか。飯食ってから行くんだろ?」 「まあそうだな。店行くか」  ルカの言葉に、皆がそれぞれ頷いて、店の方に向かって歩き出す。 「ああ、アランの分、適当に包んでくれ。持ってくから」  ルカが振り返って、そう言うと、ジェイは頷いた。 「店で、何か選んで、持って帰りたいって注文すれば大丈夫。アランはまだ何かしてんの?」 「船の最終チェック」 「そっか。いよいよだな」  ジェイは、少し背を伸ばして、腰に手を置いた。 「――――……気を付けてな」  皆の顔を見て、ジェイが言うと、皆、笑顔で頷いてる。 「オレらの海のことだし、本当はオレらがやらなきゃいけないんだろうけど」  ジェイの言葉に、ルカが「戦うとか、無理だろ」と少し呆れたように笑う。 「こういうのは、出来る奴がやればいいだろ。倒してくるから、お前らはその後、漁を頑張れよ。そっちはオレらには出来ねーし」  ふ、と笑うルカに、ジェイも、笑って頷いてる。  ――――……ああ、なんか。……カッコいいな、ルカも。  その横で笑ってる皆も。  よし、オレも、手助けになるように頑張ろ。  誰にも見えないけど、気分はすっかり、ごおお、と炎を出してる気分で燃えていると。   「とりあえず食事済ませてくる。行くぞ、ソラも……って、何面白ぇ顔してんの?」  ルカがクックッと笑って、オレの頭をポンポン、と撫でる。 「面白いんじゃなくて、やる気になってたんだよっ」 「ああそーなのか?」  面白そうに笑いながら、まだよしよしと、撫でてくる。 「もー、さわんなー」  やっぱりさっきのカッコいいとかなし。  からかってばっか。もう! 「お前、ほんと面白ぇな?」  しつこく笑いながらオレをからかって撫でるルカと、嫌がるオレとで、わあわあ騒ぎながら、店に移動することになった。 (2022/8/15) おしらせ♡ 8月12日のブログに、 表紙のことについて書いてます♡

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