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「ズルすぎる」

 ちゅ。  ゆっくり、ゆっくり、重ねる。  触れるだけ。  ルカは動かないけど。……触れてる唇が、ふ、と緩むのが分かる。  なんか。……笑ってるし。  少し離れて、微笑んでるルカの顔を見つめてから、そのまままた角度を変えて、重ねる。  男にこんなキスしてること、日本に居た時のオレが知ったら、何て言うかなあ。  頭おかしくなったのかーとか。慌てて言いそう……。  少し笑ってしまいそうになったので、舌でぺろ、と唇に触れてみる。  ルカの手が動こうとしたので、ちら、と顔を見る。 「動いちゃだめ」  む、と少し睨むと、ルカは苦笑い。  柔らかくキスして、離して、また重ねる。  ルカのキスは、重なるとすぐ、激しくなっちゃうから。  たまにはこういう方がいいな……。  ルカの唇に触れるか触れないかのところで、す、と唇をなぞった。  あ。  なんかこれ、ぞく、とする。かも。少しだけ触れてる感が、なんか……。  思った瞬間。 「……っん、……ッ」  後頭部にルカの手がかかって、それに力がこもる。ルカに押し付けられるみたいにされて、深く舌が絡んでくる。そのまま体勢を変えられて、ルカに組み敷かれる。  息、苦しいのだけど。  ……なんか……ぞく、として、もっと、ちゃんとしたいかもと思った瞬間にこれだから。  そう思ったの、バレたのかな。 「……ん、ふ…………」  にしても。  ……激しすぎ。  やっと離れた唇が、首筋に触れると、ぞく、と震える体。 「……寝かせてやろうと思ってたんだけど」 「――――……」 「抱く」  そんな風に短く言うと、ルカは邪魔そうに上の服を脱ぎ捨てた。  寝かせてやろうと、思ってたんだ。  ……だよね、今日、めちゃくちゃ、したもんね……。  熱くて大きな手が、胸に直に入ってくる。 「……ルカって」 「ん?」 「……できない時、無いの?」 「なんだその質問」  ものすごい苦笑して。 「無いな。とりあえずお前に関しては」  と笑う。  ……絶対嘘だ。  別にオレじゃなくたって、絶対、いつでも誰とでも、できちゃう人だ。  そういう欲すげー強いと思うし。はーやだやだ……。 「……何考えてんの、お前」  クスクス笑いながら一度胸から手が離れて、代わりに脇に入ってきた手に体を引き上げられて、ぽふっと枕に頭を沈めさせられる。  上にルカが居て、また、頬に触れ直すと。  何だか、首の後ろ、ぞく、としたものが走る。 「別にオレ、いつも誰とでもシてた訳じゃねーぞ?」 「……」 「相手は選んでたし。……敵かもっつー、リスクも考えてたし」 「……それはそうなんだろうけど」 「ソラが相手だと、ただ気持ちいいしかねえから」 「――――……」  ふ、と笑ってるルカを見上げて、ちょっと黙ってから。 「……オレ、のこと……他の世界の奴だから、信じられるから、なの?」 「ん?」 「オレだって、敵かもしんないじゃん……」 「ソラが?敵?」  何を聞きたいんだか。   自分でも良く分かんないけど。そんな風に聞いてみていた。  ……オレが、他の世界の奴だから、ルカが、安心して抱けるから。  だから抱く?……だけ?とか。    「……ソラが敵なら……まあ、殺されてもいいかな」 「……つか、何それ」 「さあ。……今そう思っただけ」 「いいの?」 「良くはねえけど。お前が敵ならいいよ。殺されてやっても」 「……いいわけないじゃん。皆困るし」  なんかあんまりな返答に、もともと何が聞きたかったかもわからないんだけど。  ……なんか、じっと、ルカを見つめる。 「ソラならいいかな、と思っただけ」 「――――……よくないし」  何だか泣きそうな気分になって、睨むと、ルカは、ふっと笑った。 「お前が、大事ってことだと思うけど?」 「……そんな言い方されても良く分かんないし……」  むむ、と睨んでると、ルカは笑いながら、オレの顎を掴んだ。 「他の世界の奴が、何人来たって、少しもこんな風には思わねーよ」  言いながら、なんだかもう胸がいっぱいになってるオレに、深く、唇を重ねてきた。  なんかずるい。殺されてやってもいい、とか。ずるすぎ。  絶対本気じゃないのは分かってる。  なんだかんだ、魔王を倒すっていうのはちゃんとやるつもりなんだろうし。  オレなんかにやられてる場合じゃないだろうしさ。そんなの分かってるけど。  そう思いながらも。 「――――……ん……」  ……あーあ。ずるい。ルカ。  何も考えずに言う言葉が、ずるいんだよ。もう。  ぎゅ、と抱きついた。

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