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「不思議?」

「ソラは不思議だな」  アランはクスクス笑う。 「オレが不思議?」 「ん。別に取り立てて、すげえ可愛いとかさ、素晴らしい人、みたいな感じしねーのに」 「分かってるけど……失礼じゃない?? むむむ」  言うと、ますます可笑しそうに笑いながら、オレを見る。 「でもなんか、一緒に居ると助けたくなるし。可愛く見えてくる。何だろな?」 「んと……喜ぶとこ?」 「良いことだと思って言ってるけど」 「でも……可愛いっていうのは、嬉しくないけど」 「ははっ。まあまあ」  言いながら、アランが蓋を開ける。 「わーピザだーー」 「好きか?」 「うん、好き好き、すげー好き!」  わーい、ピザあるんだ~こっちで初めて見たような。あっそっか、ピザ窯みたいなの、ジェイのところにもあったもんね、クッキーとか焼いたやつ。そっかー。  ウキウキ覗き込んでいたら、アランがクスクス笑った。 「お前がそーやって喜んでる顔、すげー可愛いよなー」 「はい?」 「オレ今まで男に全く興味なかったんだけど、ルカの気持ちはなんとなくわかる」 「は??」 「けどまぁ、手は出さねーけど」 「当たりま……うわ」  ぐい、と後ろから引きずり寄せられて、気付いた時にはルカの腕の中。 「ルカ?」  見上げると、ルカはアランに向かって「これは、オレのだっつの」と、ぎゅと抱き締められる。  オレは決して「これ」ではないし、別に「ルカの」ではない。  と思うのに。  ……なんか、ほわんと嬉しくなる、この胸の奥の感情は、ほんと謎。 「だからー、可愛いけど、取らないって。まあ、そもそも女の子がオレを待ってるし」 「お前も一人に決めたら?」 「はー? 超遊び人だった人に、そんな言われたくないんですけど」 「今も遊び人のやつに……」  何だか良く分からないやり取りを続けるルカの腕からすぽ、とうまく抜けて、ピザをお皿にのせる。 「じゃあ先にいきまーす。お腹すいたしーごゆっくりー」  はっきり言って、この二人はああいうので遊んでるとしか思えない。  ミウと一緒に、甲板上がる階段にぴゅーんと向かう。  後ろでなんだかため息が聞こえるけど、スルーして甲板に上がった。 「皆、美味しそうなピザだよーー!」 「うまそう」 「ほんとー!」  皆の真ん中にピザを置いて、ミウを膝にのっけながら下に座る。 「ルカとアランは?」 「なんか変な言い争い始めたから置いてきたー」 「ああ、いつもの?」  キースがクスクス笑う。 「すぐ来ると思うけど……あ。来た」  すっかり座ってるオレを見て、ルカが苦笑しながら、オレの隣に座る。  アランも、空いてたリアの隣に座った。 「アランの見立てだと、明日中には着くらしい。今日は天気も良さそうだし、昼間は魔法で後押しして、速度を速めるから」  ルカが言うと、了解、と皆。 「本当なら移動魔法でリアに先に街に帰ってもらって、漁に出ても良いって伝えてやりたいけどな。リアがこっちには帰って来れなくなるし、明日まで待ってもらおう」 「大丈夫だよ。多分皆もう海の様子には気づいてる。漁には出れないけど、オレらが帰るの、わくわくしながら待ってるから」  ルカのセリフに、アランは笑いながら答える。 「そういう待ち時間なら、一日二日伸びたって、誰も文句は言わないって」  アランのセリフに、ルカは頷いて、ふと笑う。 「まあ、普通の魔物は出るから多少は気を付けながら――――……とりあえず帰るまで船の上で楽しもうぜ」  楽しそうに言ったルカに、皆も頷いて、カンパーイ。  ……なんの乾杯かなあ、なんて思いながらも、合わせる。 「まあどうせ帰ってからも宴だろうけどな」  ゴウが笑いながら言うと、皆も頷く。  ここの人達ほんと、乾杯とか宴とか、好きだなー。  ……つか、オレも、そんな皆が好きだけど。  魔物が居なくて超喜んでる人達と一緒に飲むのか~。  楽しそうだな。

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