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「独占欲って」

「ソラ、なんか甘いもの食べたいか?」  ジェイがそう言ってくれたので、わー、と見上げる。 「作ってくれるの?」 「ああ、どんなのがいい?」 「んーー。甘くておいしいなら何でもいい」 「分かった。つかオレが作るんだからおいしいに決まってるし。待ってろよな?」 「うん!」  頷くと、ふっと笑って立ち上がり、ジェイが離れていく。 「ジェイも、なんか可愛がってんなぁ」  アランがクスクス笑いながらオレを見る。 「ソラも、あんまり懐いてると、独占欲王子に妬かれるぞ」 「独占欲王子は今、めちゃくちゃ囲まれてるけどねぇ」 「お。ソラにも、独占欲出てきた?」  そんな風に聞かれて、え、と固まる。 「いや。別に……独占欲っていうか」 「いうか?」 「……ルカはさ、仲間以外の人と居る時は、大体、大人気でオレの側には居ないから。分かってるし、別にそれはいいと思ってるんだけど」 「ふーん」 「……そりゃ、人気あるよね」 「まあそうだな。ああいうオレ様感、モテるしな」 「ねー。つか、何でオレとずっと居るとか言うのかも、正直良く分かんないし」  アランは、オレの言葉を聞いて、んー、としばし考えてから。 「ルカは、お前にいっつも手ぇ、出すんだろ?」 「……っっ何その聞き方」 「それ以外聞きようがないし」  うぅ。ほんとやだ、デリカシーのない人って。思いながらも。 「……そうだけど、それが何?」 「もうそれがすべてじゃん。他の奴のところに行かず、ソラだけにしてんなら、もう、何でとか無い」 「――――……」 「ソラに対して一番その気になって、可愛がってるってことが、すべてじゃん」 「……それがすべてなの?」 「それ以外何があんの?」  うわーうわーうわー。言い切った、アラン。もうすごいなぁ。この人。  何というか。それがすべてでいいの?  なんだか納得させられそうになりながらも若干引いてるオレに、アランは苦笑いしながらオレの頭をぐしゃぐしゃに撫でた。 「ていうか、愛されてんの、見りゃ分かる。これもな?」  言いながら、オレの左手首のミサンガに触れる。 「……結界?」 「そ。そんなの、大事な奴にしかしないから」 「……そっか」 「大体どっから来たかも分かんなくて、どこ行っても関係なかったら、絶対守ったりしないだろ」 「……そっか」 「そうだよ」  そこまで聞いて、ん、と納得しかけて。 「あのさ、後の方の理由を先に言ってくれたら、もうちょっと、オレ、素直に頷けたんだけど……」  そう言うと、アランは、ははっと笑う。 「だってソラの反応、面白いんだもんな」  クスクス笑われて、からかわれてたのかと、やっと知る。  むー、何なのもう、とプンプン怒っていたら。 「ソラさん?」  いつの間にかアランと逆隣に女の子が座っていた。 「うわ、びっくりした。あ、ごめん、気付かなかった」 「ううん」  ふわ、と笑う。  色の白い、細身の女の子。髪の色は真っ黒。サラサラで長い。見つめてくる大きな瞳は、水色。綺麗だなーと、一瞬見惚れる。 「何か用?」 「お酒、どうですか?」  声、可愛いなぁ。  日本に居て、これが合コンだったら、ちょっといいなと思っていたかも。と、かなり不謹慎なことを考えながら、お酒を注いでもらう。 「お、ソラもモテてる」  クスクス笑いながらアランが言う。 「ちょっと他回ってくるから」 「あ、うん」  アランに頷いてから視線を戻すと、女の子が、お酒を注ぎ終えた所だった。 「ありがと……えーと、名前、聞いてもいい?」 「ユイカです」 「ユイカ?」 「はい」 「オレ、ソラさんじゃなくて、ソラでいいよ」  ユイカと名乗った女の子は、にっこり笑って頷く。  すごく可愛いなあ、この子。  ただなんか。なんとなく、不思議な感じがするけど。  リアに雰囲気、似てるのかな。この不思議感。……魔法使い、とか、かな?? 「ん。あ……これって、果実酒?」  一口飲んで、美味しい、と思いながらそう聞くと。 「あ、はい」 「少しにしとくね。前これですごい酔っ払って」 「そうなんですね」  ユイカは、クスクス笑う。

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