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「魔王のこだわり」

「――――……」  さっきのビリビリ激しい圧みたいなのは無いけど、普通に居るだけで威圧感はすごいし。近づかれると呼吸がうまくできない。  今、体の自由はきくと思うのに、強張ってて動けない。  ベッドに倒れているオレの体を、魔王が抑えた。というか、太ももの辺りに馬乗りみたいに乗られた。下から見上げる魔王は、もうとにかく、怖い。  ルカとの最初の夜も、めちゃくちゃだったけど。  ……ルカは、勇者で王子だったからか。まだ、恐ろしいとかじゃなかった、ような……どうだっけ。 「勇者はお前を抱いたのか」  冷たい手が、オレの顎に触れた。 「…………」  頷きも否定もせずに、少し唇を噛んで、魔王を見上げる。 「……面白いな。あの者は、男が好きなのか」  掴んでいる顎を、逆に向けられ、顔を眺められる。 「――――勇者の大事な者を、私のものにしたら、奴はどんな顔をするだろうな」  低い声が少し、冷たい笑いを含んでいる。  ……ん? 今オレ、何て言われた? 勇者の大事な者を、私のものに?  ……ん?! ていうか、オレを抱くって、言ったの?? え、何で? オレがルカに抱かれてるから……?  はー??   何その、勇者のルカに対する、よく分かんない、こだわり。 「……ぜ」 「うん? 何だ?」  聞かれて、「絶対、嫌だ」と、震えそうな声を堪えて、なんとか言い切る。 「つか、オレ、男だし……っ楽しくないよ、オレ抱いても」 「勇者は抱いているのだろう?」 「……ったまたま……気が向いた、だけだと……」  オレは一体、魔王と何を話してるだろう。  なんだかもう意味が分からない。 「たまたま気が向いただけで、あんなにお前を守るか?」 「――――……っ」  確かにルカは、城に帰ったら結婚式しようとか言ってくれてるけど……いやでも、こいつ、頭おかしいから、ルカがオレを大事に思ってるっていうのは、言わない方が、良い気がする……! 「そもそも男、だし……」 「――――まあ、そもそも男だということは、私には関係ないがな」  低い声で囁いて、オレを至近距離から見つめる。  わーん、何、男ってのが関係ないって。  なんなの、魔王もゲイなの??!  そう思った瞬間、だった。  魔王の爪が、オレの着ていた服の真ん中、みぞおちの辺りにかかったと思ったら。  そのまま、下まで、一気に引き裂かれた。 「な……!」  何すんのー!! ひえー変態だーなんなのー!   マジでキモイ! わーん、ルカ―!!!  ――――突然、服の真ん中を、腰で結んでいた紐ごと引き裂かれたオレは、当然、ウエストから下まで、肌が見えてしまう。  別にオレ、男の前で脱ぐとか、全然、平気だけど……!  こんな、見え方は、なんか、恥ずかしくて、全然平気じゃないし、この後何をされるのかが、分からなくて、嫌すぎる!!  (2024/4/8) ソラを応援コメント頂けたら次の更新早いかも……|ョ゚д゚*)チラリン 最近どうコメントしていいかわからないと思うんですけど(笑) マシュマロもお待ちしてます(*´艸`*) あっそうだ。エブリスタの「言葉のかけらたち」に書いたのですが、 エブリスタとアルファのプロローグにルカソラの素敵イラストを置いています&表紙を変えています。フジョは作品内に画像を置けないので表紙の差し替えだけしてます♡ 見てやってください~(´∀`*) イラストへの感想頂けたら絵師様にもお伝えするのでぜひ…♡

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