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「魔王の子供?」

「嫌だ……!」    跨られているのが、本当に嫌で、逃れようと動いた瞬間、魔王は指を軽く上向かせた。多分、魔法を使ったんだと思う。オレは動けなくなった。腕を、自分の顔の横で押さえつけられた。触られてないのに。 「……っ」  もう睨むしかできない。すると、ふん、と鼻で笑われた気がする。 「――――さっきまで息もできなかったくせに、生意気だな?」  皮肉っぽく言った魔王の手が、オレの腹に置かれた。 「勇者の好みは良く分からんな」  ……分からなくていいから、触んなー!  思った瞬間。ぽう、と魔王の手が、光った。  ピンク。……どす黒い感じのするピンク色に。 「……っ」  何だこれ。何されてんの、オレ……。  魔王が触れてる所が、焼けるみたいに、熱い。   「熱つ……っやめ……」  体が動かないので、その場で、ぎゅう、と拳を握り締める。  その内ふっと光が消えて、少しだけ熱さがマシになる。だけどまだ少し、熱を持ったままで。恐る恐る、自分のお腹の辺りに目を向けると。  下っ腹のあたりに、変な、入れ墨みたいなのが入っていた。なんか、ハートっぽい形に変なとげとげが生えたみたいな模様。 「……何、これ?」 「淫紋、というものだ。知らぬか?」 「……知らない」  そう言うと、魔王は、すり、とその入れ墨みたいなのに手を這わせた。ぞわっ、として、ぷるぷる小刻みに首を振る。振ってるつもりだけど、動けてない。ぞわって言っても、ルカにされて感じるのとは違って、悪寒というか気持ち悪くて、ぞわ。 「早い話が――――これで、男だとかは関係がなくなるということだ」 「……全然分かんない……何……?」  いんもんって、漢字は、淫紋……だよなきっと。淫靡とかの「淫」……なんかやらしいイメージ。それの紋章、みたいな……マークってこと?  やらしいマーク。……男が関係なくなる?  ……嫌なイメージしか出てこない。なんだかは全然分からないけど! 「お前は、私の子を孕むことができるようになった」  ……ん?? んん?   今なんて??  子をはらむ?   ……んんん? オレが、魔王の子をはらむ??? 「何の、冗談……?? オレ、男だし……」 「物分かりが悪いな。この紋章は、そのためのものだ」  …………は??  何言っちゃってんの、この人。……人じゃないか。 「じょ……冗談でしょ」  つか魔王の子って、何? 魔物? 人間?? なになになに?   オレが産めるの?? 嘘でしょ。 「私の子を孕んだお前を、勇者の元に返したら、どうなるか見物だな」  なんか、笑いを含む声で、ものすごく恐ろしいことを言われている。  突然、体にかかってた圧が抜けた。咄嗟に逃げようと動いたオレの腕を、魔王が直接掴んで、ベッドに押さえつけた。 「……っ」  別に、こういうことするのが、ルカが初めてだった訳じゃない。  相手は、女の子だったけど。  ルカだって結構無理矢理感あったし、まあオレは男だし。結構ルカにされるの慣れてきてるし、まあ一歩譲って……いや、千歩……百万歩くらい? いやもっとか。とにかくもっともっと、たくさん譲れば、殺されて二度と、東京にもルカの元にも帰れないよりはマシかもって、思ったりする。けど。  ……子供とか、何言ってんの、絶対無いー!!   何、魔王の子供って、魔物って、そうやって産まれてるの?? じゃあオレは、魔物を産むの?  ぐらりと眩暈がした気がする。 (2024/4/9) トンデモ展開でソラが( ゚д゚)ポカーンてなってますが。皆さんもかな…? まあ書いてるのは、あくまで私なのでね。うん…まあ…(*´艸`*)

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