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「全面的に信じる」
テレビも漫画もない世界だからなぁ。
やっぱり平和じゃないと、エンタメは発展しないよね。
予備知識も何もない皆に、こういう話を信じろって言う方が、無理だよね。
んー、どうしたらいいんだろう。
信じてもらうために、少し考えてみたけれど。
……まあ皆が信じる信じないは、実際にはあまり関係ないのかなと気づいた。
オレが、こっちに残るか、戻るか。
自分で選ばなければいけないって話だから。
皆がそれを信じようが信じまいが、変わらないのかもしれない。
とりあえず、こういうことだったってことが分かってくれれば、もうそれでいいのかもな。
皆に、とりあえず話を聞いてくれてありがと、と言おうと思ったそのとき。
ルカが一度、ため息をついた。
ん?とルカに視線を向けると、皆も、自然とルカを見た。
その視線の中央にいるルカは、ゆっくりと皆を見回してから、オレを見て言った。
「ソラがこの嘘をつく理由がない。何の得もない。オレが見た神だって言ってた奴らは――確かに、普通の奴らとは違った。これはもう勘だが」
そこまで言ってから、ルカはオレの肩を引き寄せた。
それから、ゆっくりと、皆に目を向けながら、言った。
「オレは、ソラを信じる。全面的に、だ」
強く言い切ったルカに、皆はぽかん、と驚いた顔をして。
――それから少しして、呆れたように、それぞれが笑い出した。
オレはといえば――至近距離にあるルカの顔を、ただただ、見上げるばかり。
「了解。――分かったよ、ルカ」
皆がまだ笑うなかで、キースが、ルカとオレを順に見つめた。
「オレたちも、ルカとソラを信じる。そのうえで、動こう」
そう言われて、オレは、ルカを真下から見つめた。
こんなの。こんな顔で信じるなんて言われたら。
……反則なくらい。嬉しくなってしまう。
ルカ、ずるい。
ちょっと泣きそうになって、ついつい睨んでしまう。
オレの視線に気づいたルカは、ニヤと笑って、オレの頭にその手を置いて、くしゃくしゃと、撫でてから、言った。
「ジェイ、酒! つまみも出せよ!」
「はー?? 偉そう」
言い返しながらも、ジェイは笑いながら立ち上がる。
「アランも手伝えよ」
「はいはい」
ジェイとアランが台所に向かおうとしているのを見て、オレも、立ち上がった。
「オレも手伝う!」
「――休んでたら?」
「やだ! 何かしたい」
ジェイの言葉にそう言うと、二人が「じゃあ来い」と笑う。
歩きだそうとした手を掴まれて振り返る。
「ん?」
「少し待て」
そう言ってルカは、自分の小指にしていた指輪を外した。オレの左手を自分の左手にのせてから、オレの指にはめだした。
「ルカ?」
皆が見てる中、ルカはオレの指にサイズが合わないとすぐ抜いて、また隣の指にはめていく。オレの手をのせてるルカの手が、温かくて、気持ちいい。
「ここでいいか」
オレの薬指にちょうどよくはまった指輪。
……え。オレの薬指のサイズって、ルカの小指とぴったりなの??
ちょっとすごく不満な部分はあるのだけど。
左手の薬指にはめられた指輪を、じっと見つめる。
「それなら切れないから」
そう言われて、指輪が結界の話と繋がった。
「……お揃いでなくてもいいの?」
「なくても張れる。ものがあった方が少し楽な程度だな」
なるほど。……そっか。
と、指輪を見つめていると、ルカはニヤッと笑った。
「店に行ったら、そろいの指輪、買ってやるから。それまでな」
「べ……別に、そんなこと言ってないし!」
少し見透かされた気分で、慌ててそう言い返すと、オレはジェイとアランと台所に向かった。
――ていうか。
別におそろいが良かった、てだけじゃなくて。
……この指ってさ。結婚指輪、はめる指じゃん。
あの感じだと――たぶん、結婚指輪っていう概念は、無さそう。
でも。
……オレには、あるんだよね。
指輪を見つめていると。勝手に零れる笑みを、噛みしめた。
(2026/2/22)
ルカが好きな人ー?(^O^)/
(っ´ω`c)
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