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第4話
だんだんと、俺たちは離れていった。
少しずつ訪れたそれを俺は黙って受け入れる。
夜、貸し倉庫で待っていても勇魚は来ない。それでも、逢ったときには何も言わずに激しく抱き合った。これで終わりなのかもしれない、その気持ちのままに勇魚を抱きつぶす。
そんな俺に勇魚は何も言わない。
俺も何も言えなかった。
夏が終わって、秋がやって来て、それから冬が来る。
約束をしなくなった俺たちは、ほとんど逢うことがなくなっていた。そうして俺の隣が空くと、そこに立ちたがる者が増えた。親の商売柄だったり、外の人間と逢う機会の多い俺は、女の子達の憧れだったらしい。そういわれて、面食らう。
でも、勇魚先輩とすごく仲が良かったから。
そう口ごもる同級生に、そうか、と息を吐いた。
差し出された柔らかい手に心が揺れた。その姿に身体に嫌悪を感じることはなくて、縋れば忘れることができる気がした。けれど、もうすぐ受験を控えている勇魚のことを考えた。
もう別れているようなものだけど、もう忘れられているのかもしれないけれど、でも、動揺させるのは嫌だから。
俺はその手を取らなかった。
「好きな人が、いるんだ」
囁いた言葉に嘘はなかった。
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