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落ち穂拾い的な 水谷の秘密
「そう言えば水谷さんは?もう到着してるの?」
ここには、水谷が来たい来たいって言うから来たはずなんだけど、用事があるとかで来るときは別便だった。
「到着してるって連絡があったよ、水谷さんは離れの方にいるけど、夕食は一緒にとれるように手配してあるから、その時にでも会えるよ」
「そっか」
別に一緒にワイワイしたいって訳でもないからいいんだけど。
やっぱり気を遣って水谷だけ離れなんだ。
「……まぁ、水谷さん以外こんなんばっかだしな」
呻いて視線を遣ると、色とりどりのむくつけき男たちの体があるばかりでげんなりしてしまう。
「あ!それとも……」
気を遣ったんじゃなくて、セキの居ぬ間に水谷と二人で仲良くするためなのかも!
大神だけいいなぁと羨んでみても、それをできてしまえるだけの財力があるんだから仕方ない。
それに、どうせならオレは雪虫と来たかった。
温泉ではしゃぐ姿と、お湯で赤くなった肌はきっと……
「 っ 」
思わず前屈みなりそうなのを、座り直す振りをして誤魔化す。
「 ────あれぇ?勃っちゃった?」
きゃるん とした可愛らしい声が上がった瞬間、オレに……って言うよりオレの隣に露天風呂に居る全員の視線が集まって……
どうしてだか全員の顔色が、風呂にいると言うのに真っ青になった。
「みみみ、水谷さん⁉」
「やっと到着したよぉ、遅くなっちゃってごめんね」
肩をすくめながら両手を合わせて可愛らしく舌をぺろりと見せてくれるけれど……
「いや、いやいやいや!なんで男湯に入ってるんですか!」
って言うか、いつの間にここに⁉
「えっ だって……」
一応タオルは巻いてくれてはいるけれどっ!
「水谷」
厳しい声は泡を流し終えた大神だ。
険しい表情のままこちらに歩いてくると、水谷を見下ろして仁王立ちするものだから、見たくないモノが目の前で揺れる。
「あ!わんこくん!僕きたよ!」
「そうじゃない。お前は離れだと言っておいただろうが」
「だって、僕一人じゃ来た意味ないんだもん!せっかく裸の付き合いができるんだから、一番弟子と親交を深めたいでしょ?」
「深め方なら他にもあるだろう。とにかくお前はここに来るな、離れに戻れ」
「他の親交の深め方って言うとぉー 」
つつ と二の腕を指先でなぞられて「ひょえっ」って情けない声が上がる。
セキとちょっと仲良くしていただけでもアレなんだから、こんな格好の水谷に近づいたら大神にぼこぼこにされるかもしれない。
「あの、ちょ 離れてください 」
「親交を深めちゃう?僕はいつでもいいよ~だって僕大好きだもん、なぐ 」
「水谷!」って荒げた声に本人じゃなくオレが飛び上がりそうになった。
それと同時に水しぶきが上がって……
「あーんっ!まだちゃんと温もれてないのにっ!」
水谷の両脇を掴んで大神が力づくで湯船から引きずり上げる。
さすがに身長差があるからか、水谷はまるであやされる子供のようにぷらん……と吊り上げられて、なんだか傍で見ていると酷く滑稽だった。
「「「「あ」」」」
そこに居た全員が……大神ですら同じ言葉を発したと思う。
ぷらんとしている水谷の胸から下を隠していたタオルがべちょりと言う重たい音を立てながら滑り落ちて……
「わぁぁぁぁぁぁぁっ!おっさん何してんだよっ!」
隠さないとと思うけど、水谷の方を見るわけにもいかなくて、結局オレはぶんぶんと顔を背けながら手を振り回すしかできない。
拾って渡さないとって探り探り手を伸ばす指先に、水を含んで重くなったタオルが触れる。
「あったっ!水谷さんっこれで隠して……」
「えー?別にいいよ?」
「なんっなん てことをっ」
オレには雪虫がいて、興味がないとは言えソレとコレは別の話だ。
「女の子がそんなやけっぱちなこと言うのはっ 」
思わず振り返ったオレの目に、なぜだか全裸で今にも取っ組み合いしそうな勢いで睨み合ってる大神と水谷が見えて……
「あっ えっ 」
思わずぴっと背筋が伸びる。
「水谷っ!いい加減にしろ!お前のせいで社員に未だ勃たない奴がいるんだぞ!」
「えーっそれは僕のせいじゃなくて君のせいだよ」
「お前の股間を見て自信喪失したと言っているだろう!」
「僕だけのせいじゃないもん!ほら!しずるもそう思うでしょ?」
くる っと振り返る水谷の股間には……
「 ────ひっ」
飛び上がったせいでぴしゃ って雫が飛び散る。
「や、 あの、や……や、いや 」
大神はブツは、脳が理解できた。
でも、これは理解が出来なくて思わず瀬能を探すと、青い顔をしてすごすごと露天風呂からあがって行く社員についてのんびりと出て行く所だった。
思わず縋りついて引き止める。
「ままままま 待って 」
「いやぁ、噂には聞いてたけどねぇ」
はは と乾いた笑いが返る。
「集団ED事件の犯人は彼だったんだねぇ」
もう一度、はは とワザとらしい声を上げて瀬能は脱衣所へと行ってしまった。
「しずるも!師匠が難癖つけられてるんだから援護してよぉ」
たた と走り寄られて、腕を引っ張られるけれど……
何と言うか、
何と言うか、
あー……?
近くで見るとアレだ、おっさんのよりももしかしたら……
「事実じゃ?」
素直な感想を言うと、水谷はアイドル顔負けの可愛らしい顔を赤らめて、もじもじと恥ずかし気に科を作った。
「こんなサイズ、普通だってぇ」
「そんなわけないですっ!」
「えっだってほら、わんこくんを見てよ!サイズ変わんないよ⁉」
ちまっとした手が大神の股間を指差すが、最初に見た時のようなインパクトを感じないのは水谷のナニがプラプラしているからだ。
あー……うん、その顔に大神級のソレがついてるって……
思わず萎れた股間を押さえて、すごすごと脱衣所へと向かった。
END.
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