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苦い人生 9
「 何、他のこと考えてるの?」
「えっあっ 悌嗣は考えすぎだなって」
「なんで俺の話になってんだよ」
拗ねたような表情に苦笑して、ちゅっと口付けて首を振る。
悌嗣がいれば運命なんていらない。
例え、悌嗣にとってオレが複数いる恋人のひとりだったとしても。
悌嗣の手が宥めるように乳首を愛撫すると、それだけで達してしまいそうになって歯を食いしばった。
与えてくれる律動をもっと感じていたいし、悌嗣からくれる快感はもっともっと高みまでオレを連れて行ってくれるって知っているから。
「あ っぃ、てぃ じっ、そこっ」
ソコ は、オレが弱い所で、執拗に責められたらもう駄目だってわかってるのに!
覗き込んでくる悌嗣の目は意地悪そうだけれど、その奥には熱を含ませた温かい眼差しがあって……
「 ぁ゛ ────っ!」
落ちるような、天に上るような、そんなイク感覚に恐怖感を覚えて悌嗣に縋りつくと覆い被さるように抱き締め返されて、一瞬息が詰まった。
オレが縋りつくように悌嗣も縋りついてお互い隙間もないくらいぴったりになって……
は と安堵の息を吐くと、体内で締め付けた悌嗣のモノが抵抗するように膨らんでから弾けた。
耳元で低く唸る男らしい声は快感のために震えている。
発情期の霞みがかるような頭の靄の中でもそのことが嬉しく思えて、水分の足りない唇を舐めながら問いかけた。
「 ぁ、 きもち い?」
「んっ や、ばい」
ぶるりと体を振るわせながら呻く悌嗣は熱のこもった目でこちらを見ると、ちょっと照れくさそうに笑って体を起こそうとした。
「や 離れないでくれ」
例え体内のソレが力を失ったとしても愛しくてしょうがないし、果てたからとすぐに離れられてしまうのは寂しい。
「ゴム片付けるだけだから」
縋るオレにくすぐったいとでも言うような笑みを向けるけれど、それを振り切るようにして抱きつく。
「ちょ、どした?ほら、零れるだろ?」
「や 」
さっきからこの言葉を漏らすオレは酷く子供っぽいと思う、だけれどもそれ以上に言い募る言葉を見つけることができなくて、いやいやと首を振る。
「零して、いいよ?」
零れて、
ナカで零れて、
子供でも出来たら、ちらつく他の誰かを出し抜けるんじゃって……
「洗濯大変になるだろ!」
そう軽く返されて額を小突かれた。
「…………」
オレのズルい考えを見透かされた気がして、さっきまでふわふわとしていた頭が急に冷やされて現実感が戻ってくる。
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