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苦い人生 21

「ン 半分  触って、いい?」  ふぅふぅと荒くなり始めた息の下からそう懇願すると、悌嗣はやや考え込んだかのような間を持たせてから、「まだだーめ」とからかいを含んだ声で返事をされてしまう。  いつもの意地悪だって思うし、悌嗣はきっと自分の我儘をオレが聞くことで、ちゃんと愛されているのか確認したいだけなのかな?とも思うんだけど……  焦らされて焦らされて、下着にジワリとシミが出来始めたんだろうなって冷たさを感じた段階で、辛抱できなくて下着ごとスラックスを脱ぎ捨てた。 「ふ、 んっ」  下半身を包んでいたものがなくなり、剥き出しになった皮膚がざわりと粟立つ。  解放感ですっきりとした心持なのに、職場で晒してはいけない箇所を晒しているのだと思うと羞恥心と背徳感、それから妙な高揚感にぞくぞくと背中がしなる。 「あ、明日からっ……どんな顔して仕事すればいいんだよっ!」 「明日は仕事休みだろ?」 「~~~~~~っ」  そんな話ではないのは分かっているはずなのに、軽く返されて泣きそうだ。  つい少し前まで、そこのスツールに座った客が彼氏の浮気を喚いていたと言うのに……  そう思うと、律儀に胸だけを虐めていた手が止まってしまった。 「……快斗?」 「あ、ん、なんでもない……」  三か月ごとの出張。  悌嗣に限って……とは思うし、出張中に食べたお昼の写真を送ってくれたり、電話してくれたりする。  他のΩと浮気なんてしてたらそんなことできないだろうし……  オレの考えすぎだってわかってても、一度生まれてしまった疑いの芽は摘み取れない。 「ナニ他のこと考えてんの?」 「ん、んーん、……下、触っていい?」 「下?下ってどこ?」  は? 「や、あの、  」  電話越しのオナニーで、一番重要になってくるのは言葉だってわかってる。  わかってるけど…… 「どこかわかんないと、いいよって言ってあげられないなぁ」  はぁ と漏れた悌嗣の息に熱がこもって、更に聞こえてきた微かなクチ と言う水音に、冷めかけていた体がまた熱を持つ。 「ぇ。 ち、ち〇こ、触りたい」  どうと言うことのない平時なら別に恥ずかしくもなんともないし、むしろ笑いの種にでもなる短いその単語が、直接的過ぎてやけに恥ずかしい。 「じゃあ、人差し指だけチ〇コに触っていいよ」 「えっ」  胸を弄っただけで立ち上がっているソコに指先を近づける。 「ひゃっ  」  緊張していたのか、指先が妙に冷たくて先端のつるりとしているのに柔らかな部分に触れた瞬間、思わず飛び上がってしまった。 「どうした?」 「指……冷たくて」 「じゃあ舐めて、たっぷり唾液絡めていやらしくね」 「ぅ  」  言い方がいちいちいやらしいんだって言い返したかったけれど、指に舌を絡めるオレに反論なんて出来なくて……  

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