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甘い生活 7
神様でもなんでもない、ただの人の俺がこうやって何度も何度も人生を繰り返していること自体がおかしい話で、どうして俺がこんなことをできるのかと言うこと自体、意味不明だった。
いや、一つ、快斗を生かす と言う点では意味がある。
いつも見る覚醒する前の嫌な二つの双眸に問いかけたことがあるような気がしないでもなかったけれど、答えを聞いたのかどうかは定かではなかった。
「いつか、俺が死んでもリセットされない時が来るんだろうか……」
そうなった時、俺はそのことに気づくのだろうか?
それとも、気付かないまま意識が消えてお終いなんだろうか?
それとも、もしかして皆こうやって人生を繰り返し繰り返しやり直しているのか?
『 ────死んでも、一緒にいたいよ』
昔から、時折快斗の口から零れる願いは皮肉にも俺が叶え続けているってわかったら、快斗はどう思うだろうか?
自分が死ぬ度に俺が後追い自殺を繰り返しているんだって知ったら、快斗は少しは気を付けて生きてくれるだろうか?
疑問ばかりが積み重なって……快斗との生活は甘い蜜月が続いているのに、どこかその後味は苦く思えた。
音割れした叫び声から逃げるために受話器を可能な限り体から離す。
それでも耳を塞ぎたくなるのは音量のせいだけなのか、それとも他人の幸せが妬ましいからなのか判然としない。
「おめでと」
呆れたふうに返事を返した俺に、やっと正気に戻ったのか同僚は咳払いをしてから仕事の件を相談してきた。
その背後で、多分ケーキ屋だと言っていた恋人がやきもきしている声が聞こえて、羨ましさもあったけれど素直に嬉しいと感じる。
二日、妊娠の報せをずらした。
これがどう出るか正直、俺にもまったくわからないけれど、どうか好転してくれと願わずにはいられない。
同僚の恋人が亡くならなかったとして、その時間の犠牲者がいなくなる訳ではないだろうけれど、ほんのわずかな罪滅ぼしをさせて欲しかった。
「明日、出張になったんだよ」
前回はバタバタしていて、同僚の体調不良の原因も何もわからないままだったけれど今回は違う。
事前に快斗にスケジュールを話せるし、同僚の身に起こったこともきちんと話ことができた。
「わっ おめでたいね」
ぱぁっと一瞬顔を輝かせるけれど、その目の中に一抹の揺れを感じてネクタイを解く手を止める。
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