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甘い生活 17
結局、快斗を襲った強盗は例の強盗で、今回この男の犠牲になったのは強盗に入った先の家人二人だった。
通報するべき人間が亡くなっていたために連絡されなかった と、言うわけで。
なんとも後味の悪い感覚を押し込めるようにしてから、快斗の方へと向き直る。
「会社からは休めって言われてるし、今日はこのままデートしようか」
「うん!あ、でもその前に抑制剤飲みに帰らないと……朝に飲めてないから」
Ω用抑制剤は市販の物も多かったけれど、快斗の体質には向いていないようで効きが悪いのだと言う。
もう少し抑制剤の開発が進んでくれれば……と思うも、今後に期待するしかない。
「じゃあ家だな」
行き先が決まった所で歩き出そうとして隣の快斗の手を取ると、ちょっと目の下を赤くして俺をちらりと見上げてくる。
「あの、……助けてくれてありがと。悌嗣……格好良かった」
繋いだ手をぎゅっと握られて、照れくさいけれど笑いが漏れた。
にこにこと俺を見てくれる快斗は、似合わない髭がなくなって可愛さが跳ね上がっている。
その顔が赤くて……
物言いたげな唇が引き結ばれて……
「ん、間に合ってよかったよ。あー……の、 」
掌をくすぐるように動かして、俺と同じ思いで見上げてくれる快斗を抱き寄せた。
さらりとした髪の下から覗く歯型を見ていると、さらに心の中がうずうずしてしまって……
腕の中で、快斗ももぞもぞと体を揺する。
「今日のデート延期していい?」
デートに行こうと言ったり取りやめたりと、我儘勝手で傍若無人なことを言っているのに、快斗は気を悪くするどころかますます顔を赤くしてぎゅっとしがみついてくる。
「……いいよ」
ちらりとこちらを見上げる瞳は熱っぽく潤んで、顔は赤みが増しているせいで熱でも出しているんじゃないかって思わせるほどだ。
でも違う、コレは期待している時の顔だ。
「今日は一日ベッドの上な?」
こくんと素直に頷く快斗が可愛すぎて、ここが公道じゃなかったら今すぐ押し倒していたのに。
「今日は……ずっと手を握ってたいんだけど」
「うん?うん、快斗が満足するまで幾らでも」
「ん、離すのは嫌だからな」
「わかった、離すわけないだろ」
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