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ひざまずいてキス 13
奥はうねって飲み込もうとするのに、入り口はぎゅうと締めて押し出すような感覚で……
オモチャをつるりとした先端を苛めるようにくるくると回してやると、もう声じゃない泣き喚くような言葉が漏れて、次の瞬間にぷしゅって精液じゃないものが噴き出した。
ぼたぼたと溢れてシーツに沁み込んでいく液体が、オモチャの振動でぴちゃぴちゃと音を立てる。
千切れるんじゃないかってくらい締め付けられて、奥の方に擦りつけるようにして射精するとナオちゃんの震えが一層激しくなって……
あ、まずいって、
「 っぐ、」
ぐぅっと喉が鳴って腹が痙攣で引き攣れるのかヒクリと波打つ。
それはそれできもちーんだけど、そうじゃない。
「ナオちゃん⁉」
「っ……どけっ、ど……」
傍にあったタオルを掴んで慌てて口に当てると、ごほごほと噎せる音がして酸っぱい臭いが鼻を突く。
「ごめ……ごめ、俺またやり過ぎた?」
「 っ……」
最近は、最初の頃みたいにちょっとちゅーしただけで吐くみたいのがなくなって、俺とのことにちょっと慣れてきてくれたんかなぁって思ってたんだけど。
ナオちゃんの、とろりとしたものが苦手って言うのは……多分、昔のことがあるんだろうなってのは、俺でもわかる。
俺は知らないことになってるから、そのことについて何かは言えないんだけど。
頑固で気の強いナオちゃんがトラウマになるような場所に居たんだってことは確かだ。
公に出来ない場所……って、大場商事のおっさんがニヤニヤしながら言っていたから、よっぽど癖のある場所だったってことだろう。
「もっ……まじで、お前は……」
胃が空っぽだったのか、ナオちゃんの吐き出したのは薄黄色い液体を少しだけだ。
「もーまたナオちゃんご飯食べてないの?忙しかった?」
「……飯食ってたら、吐いた時大変だろうが」
そう言って、吐き気がまだ治まりきってないのか青い顔のままふらふらと膝たちになる。
「やだー!ナオちゃん優しい~っ」
「何言ってんだ⁉」
「だって、いつも後片付けすんの俺だろ?」
「お前のためじゃない!吐きやすさって言うものがあってだなっ」
ウットウしい感じに言ってくれるけど、ちょっと耳が赤い気がするからきっと照れ隠しだって思う事にする。
なんだかんだ、忙しい忙しいって言いながらこうやって俺のところに来て抱かせてくれるんだから、そんな悪く思われてないと思う。
いや、思いたい。
「んな訳あるかよ」
騒がしい居酒屋の中だって言うのに、腹から出された声はかすむことはないまま俺に突き刺さる。
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