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ひざまずいてキス 15
「んな顔すんなって!つれぇねぇ素人ねぇちゃんより、優しく慰めてくれるねぇちゃんだろ?」
にまにまと悪い顔で笑う先輩だけれども、その言葉の意味に気づいて俺はへらりと顔が緩む気がした。
マットの上で綺麗なねぇちゃんに抱き着かれて……まぁ悪い気はしないよな!
ローションのせいで俺との間でうにうにと形を変えてぽよぽよと弾む胸に、思わず鼻の下が伸びていろんなところが元気になる。
「えーっ!すっごいキレイだね?」
「そう?男にキレーって誉め言葉?」
「誉め言葉だって!なんかすごく締まっててー……バランスがいい?感じ?」
俺の体を洗いながらそう言ったねぇちゃんは、楽しそうに体を触り回ってきた。
「おねーさんの体もキレーだよ」
出るとこ出てて、引っ込むトコ引っ込んでる柔らかい体だ。
触ると押し返すような弾力が気持ちくて、やっぱりたまらんよなぁって……思うんだけど。
思うんだけど。
おねーさんの尻を揉んでてもなんでか思い出すのはがっつり硬いナオちゃんの尻なんだよな。
女の肌はキレイって言うけど、ナオちゃんの肌もすべすべでちょー気持ちいぃ……
肌も白くて……背中の、狼を彫ろうとした痕以外はなんもないまっさらな感じで。
堅っ苦しそうにぴっちり隙もないような格好してるのに、スイッチ入った時の腰の振り方とかやべぇよな。
でもそれもこれも、昔の仕事で学んだことだってのを思うと、イライラとしてくる。
「ちょーっと、ナニ考えてんの?」
とんとんって鼻先を叩かれて現実に引き戻されて……
こんな状況なのにナオちゃんのことばっかり考えている自分にびっくりした。
「人のお尻もみながらよそ事考えるなんて失礼じゃない?」
たはは……なんて笑ってごまかしては見るけれど、相手はさすがにプロだ。
うわの空なんだってことはバレてんだろう。
睨みつけられて……苦笑いしか出なかった。
ご機嫌で歩く先輩に肩を組まれて思わず嘆きそうになる。
人の金で出す物は出してすっきりしたはずなのに……無性にナオちゃんの顔が見たい。
おねーさんとのわざとらしい会話とかも楽しいんだけど、ちょっと気を抜くと足が飛んでくるナオちゃんとの会話の方が、なんて言うか、楽しくて。
せっかくおごってもらったのにさっさと解放されてぇって思っていると、タイミングよく尻ポケットに突っ込んであった携帯電話が震え出した。
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