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ひざまずいてキス 17
「これがもしアルファだとしたら?」
「んなこともあるんじゃねーの?」
誰からナニが生まれようと関係ないし。
「奴は神鬼組の跡取りだ、その跡取りが不貞の結果できた子だとしたらどうなるかなぁ?」
ふてー?
ああ、他所の男の子供だとかそう言ったアレか。
んなこと調べるのに躍起になってんの、馬鹿らしいと思わないんかな?
「神鬼組っつって、別にもうヤクザとか生き残ってないっしょ?なんちゃらかんちゃら法ってのでさ」
「全部が全部潰されたわけじゃねぇ」
意味ありげにニタニタ笑うが、なるほど、そう言う名前がなくなったって思った方が良さそうだ。
「もうない組の跡取りが誰のタネでもかまわんでしょ?もーいいだろ?十分働いたって!ってことでこれでおしまいにしようや」
わけのわからん話にうんざりして帰ろうとした所で、おっさんが聞こえよがしに「直江も」って言葉を吐いた。
「あ?」
「あの直江とか言うのも、雇い主が失脚すれば自由になれるのになぁ?」
こう言う場合、ちょっとでも隙を見せたら付けこまれるんだけど、分かってたのに「うっ」って言葉を詰まらせちまった。
「…………」
「なぁ?お前も大神と兄弟なんざごめんだろう?」
「…………」
意識してないのに眉間に皺が寄って、おっさんを睨みつけてしまっていたらしい。
ビビるおっさんを見下ろして、「どうすればいいんだ?」って低い声で尋ねていた。
方法は二つ。
研究所に併設された病院から大神の情報を盗み出してくるか、もしくは大神本人の血か精液を持ってくること。
「……どっちも俺にはムリじゃね?テキザイテキショってやつだろ」
病院だって、今じゃ紙のカルテなんかじゃないだろうし、大神本人の血とか尚更無理だ。
正面切って殴りかかったとして、あの大神をどうにかできるとは思えない。
女ならワンチャン精液って手もあるだろうけど……
「あ、男もイケるんだっけか……────ぅえっ」
思わずゲェと吐きそうになる。
想像だけでも無理だって。
族時代の知り合いに声をかけてボコるってのもあるけど、俺……あいつらから恨まれてるからなあ。
大神ボコる前に俺がボコられる。
「なぁ、ナオちゃん」
そう声をかけると、ない物を懸命に探しているナオちゃんが振り返る。
「世の中ってやっぱナオちゃんのボスみたいにアルファじゃねぇと金持ちになれんのかな?」
「はぁ?」
何言ってんだこいつって顔をしながら靴下を畳んでいるナオちゃんを見ていると、大神にもこうやって甲斐甲斐しくしてやってるのかなって、思って……
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