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ひざまずいてキス 24
驚いたようだったけど、簡単に振り払えると思ったのかぐっと力が籠る。
もっとも、俺が負けるわけないんだけど。
「なんだ。ずいぶん時間を食った、早く帰らないと」
「……っ」
焦れたように腕を振り払おうとする姿は、俺のところなんかより大神のところに居たがっているんだって言っているようで……
力任せに振り払おうとした腕を逆に抑え込むと、目を白黒させて戸惑う顔をした。
「力だよりじゃ、振り払えないよ?」
「な……何言ってんだ」
そう言いつつも逃げるのを諦めていないのか、腕はぐいぐいと力が籠っている。
「おい、仕事に戻らないといけないんだ」
「当分これないってんでしょ?じゃあさぁ、ちょっとナオちゃん成分補給させてよ」
眉をぎゅっと寄せた顔は何を言っているんだって思ってる顔だ。
大神のところに急いで帰りたくて、でもできないイライラが見え隠れするその態度は全然面白くない。
「冗談は……」
「舐めて」
「……は?」
薄い部屋の扉の向こうからは店の客の話す声や、調理の音が聞こえてくる。
「こ、こんな状況で、なに言って……」
ちょっと怖がるような、笑えない冗談だって言っているかのような顔で引きつる顔は笑ってない。
俺は、俺の言ったことが本気だって知らせるために一歩進み出る。
「ほら、早く。客が沢山来る前に」
「や、どうした?いきなり……今日はちょっと知らせるためだけに来ただけで、そう言うのはまた改めて……」
「そう言うのって?」
「そ……」
別の言葉を探しているナオちゃんに、「はっきり言って」と強く言うと、困った顔でそろりと「せ、性交は……」と呻くように答えた。
「俺は舐めてって言っただけなのに、ナオちゃんはセックスしたいんだ?」
「!?」
かぁっと赤くなった顔で俯き、また俺の手を振り払おうとし始める。
「セックスしてもいいよ?んで、腹の中に俺のザーメン入れたまま大神んとこ戻ればいいよ」
「は……?お前なに言ってんだ!」
一際大きく暴れるから、その力を絡め捕って勢いのままに床に引き倒す。
ナオちゃんは何が起こったんだって顔をしてるけど、うちの流派では初歩の初歩って言うくらい基本的なことだった。
胸の上に座ってやると、もうそれでだけで起き上がれなくなってジタバタともがく。
「口開けてよ」
「っ……やめ、帰らせろっ」
「一回抜いてくれたらいいよ」
仕事の途中だから当然洗いも何もしてない蒸れたち〇こを引き出して突きつけると、ナオちゃんは人でも殺しそうな目で俺を睨み上げてくる。
ナイフみたいで、殺気が籠って、カッコイイしキレイだ。
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