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ひざまずいてキス 26
「急に起き上がった時にぶつかってしまっただけなんです。悪いことをしてしまいました」
きっと、俺が同じことを言ってもここまで素直に聞いて貰えないだろうなって感じで、おっちゃんは「ああそうなの」って納得した。
俺のザーメンを飲み下したあとに、怒りはしてもまさか回し蹴りを食らうとは思ってもみなくて……
「油断した……」
「お前はいつも油断ばかりだろ?」
「んなことねぇよ」
不貞腐れて見てやれば、さっきまで男のナニを咥えてました……なんて微塵も感じさせない涼しい顔だ。
まぁ、でも、最初みたいにゲーゲー吐かなくなったってことは、それだけ俺に慣れてくれたって思ってもいいんだろう。
前は一緒に眠りもしなかったのに、近頃は腕枕で寝てくれるし……
悪く思われてはないはずだ。
「 ったく」
おっちゃんにはにこやかだったのに、俺に向き直ると虫でも見るような目つきで……
ホント、クセになる。
「しばらく顔見せれないから悪いと思ってきてみればっ」
「…………」
どん って、突き飛ばすように押し退けられてたたらを踏むけど、さっき聞こえたナオちゃんの言葉にどきっとしてそれどころじゃなかった。
「やっぱ俺の顔見に来たんだ!」
「っ!」
はっとして慌てて口を押えるけれどもう後の祭りだ。
「ち、ちが」
慌ててなんとか言おうとしているけど、目元から首にかけてぱっと赤くなって……
図星を指されたんだってわかった瞬間、こっちもなんだか恥ずかしくなって、ぶわって顔に血が集まるのが分かった。
「えっあっ……ええっ!マジだったの!?」
「うるさいっ」
ぐいっと顔を背けて店から出て行くけど、その耳が赤いのは店の明かりのせいではっきり見えていて。
落ち着かない感じにそわ と体を揺すった。
「それで?」
「いや、どうなんかなぁって」
「そりゃ、憎かったら顔なんて見に来ないでしょ?」
そう言って満田の女の……なんて名前だったか は、トイレでケツ拭けるんかなって思うような爪の指先で頬をツンツンと突く。
「だよなぁ」
そう返事をしながら、指が沈み込む柔らかい胸を揉みしだく。
これ、ホンモノなんかな?
ぽよんぽよんと手の中で跳ねて、不思議なくらい形を変えるのに気持ちいいくらい元の丸い形に戻る。
ああ、やっぱ楽しい。
「ちょっと、揉みすぎぃ」
ぺちんと手を叩かれて、しぶしぶその柔らかさから手を離すけれど……
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