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ひざまずいてキス 27

  「ちょ、もっかい」  名残惜しくて手を伸ばすと、しょうがないなぁって感じで突き出してくれる胸に有り難くかぶりつく。  下から持ち上げてもずっしりとしててちょうどいい重さって言うか、落ち着く重さだけど……サイズ変わったんかな?  きもちーんだけど…… 「太った?」 「ちょっと!そう言うデリカシーのないこと聞く!?」 「ええ…」  以前よりちょっと重い気がしたんだけど。 「でもさぁーでもあんた、それで情報とかどうすんの?」 「あぁー……」  ちら と女を見てみる。  悪い子じゃないけど、結局は満田と繋がってるんだしなぁって思うとそれを相談する気にはなれなかった。 「どうすっかなぁ」  ナオちゃんと連絡が取れない間、下の方の世話してくれるから便利なんだけど…… 「まだ続ける?」  黒目?かなんかがでっかく見えるカラコンを入れた目に見つめられると、なんか落ち着かなくてそわそわと体を揺する。 「……続けなきゃ、怒られるんだろ」  なんだか座りが悪くなってきて、パンツとズボンをそそくさと身に着けて立ち上がった。  まぁ、なんとかするしかねぇか。  常連のおっさんがニヤニヤして教えてくれた対処法って奴は、もっと上の奴に泣きつくって奴なんだけど……  正直、替わりに差し出せるものがないって段階でそれはそれで詰んでるって話なんだけどな。 「おっさんが満田に言ってくれたらよかったんじゃね?」  暗いビルの裏を、ふらふらとちょっと怪しい足取りで先を歩くおっさんに言うと、はははって乾いたような大きな笑いが聞こえてくる。  けど、それ以上の言葉は聞こえてこなかった。 「…………なぁ、おっさん」 「んぁー?」  いつもどおりの気の抜けた返事だし、酒臭い臭いもここまでぷんぷん漂ってくるくらいだ。  なのに……  なんだこれ、 「…………」  違和感に思わず立ち止まってしまうと、数歩先を歩いていたおっさんが振り返る。 「タイちゃん、どうしたよ」  歯の抜けた荒れた口、赤ら顔、白髪交じりの薄い頭髪。  こっちを見る……少し濁ったような目。 「……」  いつも通りなのに、 「なぁおっさん、また今度にして貰ってもいいか?」 「あぁ?どしたんだ?怖気づいたか?」

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