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ひざまずいてキス 41
「本当だな?」
「うん!」
ちょっと赤い目元に向かって思いっきり頷いた。
「俺の住んでるとこ、同居人が増える場合はサインがいるんだけど」って言われて、差し出された頭の痛くなるような文章の書かれた何枚かの紙にサインをして、ちゃんとしたハンコはないから親指でぎゅってした。
「これでいい?」
「ああ、これでいい」
きょとんとしている俺に、ナオちゃんはすこぶるいい笑顔を見せてくれて……
ふぅん?って、思わなくもなかったんだけど…………まぁ、案内されて気づいたよね。
「…………ナオちゃん」
「荷物はそこに置け」
「ナオちゃんっ!」
「なんだ、うるさい。あとここでは直江さんと呼べ」
「やだっ」
荷物の入った段ボールを投げ捨てて思わずナオちゃんに詰め寄ろうとするけど、さっと駆け寄ってきたいかにもやんちゃしてましたよって奴らに阻まれて……
「ちょ、ちょ……何だよこれ!」
びっくりするくらい広い日本らしい家?屋敷?と、何人もいるやんちゃそうな人達と……
「何って、うちのシェアハウスだ」
「う、うちの!?」
「行儀みなら……違うな、研修中の奴はここに入ることになっている」
「いやいやいやいや、待って!なに!?研修って!?」
「とりあえず礼儀を習うとこからだな」
思わず俺とナオちゃんの間に入ってるやんちゃそうな奴を投げ飛ばして、ナオちゃんの腕を掴んで奥に引っ張る。
「おい、幾ら俺の紹介だとしてもこんなことしてたら示しが」
「示しってなんだよっ!同棲するって話だろ!?」
「一緒に暮らすって話だろ?安心しろ、俺の部屋は向こうの離れにある。一年に何回かは荷物を取りに帰るから安心しろ」
「ぜんっっぜん安心じゃねぇし話見えねぇよ」
できるだけ低い声で言ってやるが、ナオちゃんはきょとんとして首を傾げた。
ああくそっカワイイ!
「お前がうちの会社に入るって話だろ?」
「はー!?」
「ちゃんと契約書類にもサインしたじゃないか」
にこやかに言われて……
親指ぎゅってした書類のことを思い出した。
「え……?あ?え?」
「うちは能力さえ示せばどんどん出世して行くからな、頑張れよ」
「はー!?」
さっきからまともな言葉を告げてない気がする。
でも、でも、正直何が何だかわかんない。
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