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ひざまずいてキス 42
「ナオちゃんが、俺と一緒に暮らそうって言ったんだろ⁉」
確かに俺から言い出した事だったけど、ナオちゃんもするかって言ってくれたから、てっきり二人で暮らすんだって思うだろ⁉
さっと後ろを見てみると、職務質問を一度は受けたことがあるんじゃないかってメンツがおらつきながらこっちを睨んでいる。
「ああ、だから一緒に暮らすだろ?」
「あ、あんな赤い顔で……言うから、てっきり……あれはっな、なんだったんだよっ!」
わなわなと震えながら言うと、ナオちゃんは「あ?」と言って軽く首を傾げて見せる。
「あー…あれか。あれな」
そうするとさっと目元や首元が赤く染まって……
ぎゅっと握ってきた手はしっとりと汗ばんでいた。
「え?えぇ⁉」
さっと睫毛を伏せれば、それだけでしっとりとしたフインキで、男心をそそると言うか……
触れたら落ちそうな感じに股間がきゅってなる。
「まぁこんなとこだな」
「え、え……」
「ちょっとした特技だ」
顔を赤くしたりとか汗かいたりとか、普通出来るなんて思わないだろう!?
「……だ、だま 騙したなっ!」
「契約書にもちゃんと書いてあった。確認してサインするようにって言っただろうが」
「あ……ぅ……や、やめたっ!出てくっ!」
「相良大我、お前みたいな腕の立つ人材を逃すわけがないだろ。うちは常に人手不足なんだ」
「にが、にが!?だって俺はナオちゃんとらぶらぶな二人だけの生活に……」
大声を上げた俺の鼻をぺしりと叩いてくる。
「実際はさておき、俺と付き合ってるつもりだったのに、あちこち行ったこと許してないからな」
「実際とか言わないでよ⁉」
「ちゃんと反省した態度を見せろ」
「ぼ…坊主にするとか?」
「お前の毛なんかいらん」
「ヒドイっ!むしり取ったこともあるクセにっ!」
ひらひらと手を振るナオちゃんは赤くなって恥じらった時の面影は全然ないし、大神の後ろで従順に付き従っていた頃の顔でもない。
その初めて見る表情にぽかんとしていると、今まで見たどれとも違ういい笑顔で振り返った。
END.
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