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手作りの楽園で 7

「そう……ですか?」 「気にしないでいいよ」  にこにこと笑われてしまうと、もう何も言えなかった。 「仙内さんは嗚女河になんのご用なんですか?」 「ああ、大学のフィールドワークなんだ」 「大学……の?」  神社と大学の勉強とがうまく結びつかなくて、思わずきょとんと首を傾げて繰り返す。  そうすると仙内も倣うように首を傾げて見せる。 「考古学の、建築と書物関係だよ」 「建築ですか?」  書物ならなんとなくわかりもするけれど、建築と言われるとぴんと来なかった。 「嗚女河神社に使われている建築様式って言うのは、ちょっと見ない様式でね」 「はい……、?」  とりあえず返事はしてみるけれど、それは相槌でしかなくて…… 「かつて山間で信仰されていた蛇神を祀っていたって言う社と同じ造りらしくて考古学的に見て、この土地にどうしてその建築よ……あ、ごめっ」  慌てて言葉を区切ると、仙内は慌てて頭を下げてくる。 「ついっ語っちゃって……」 「好きなんですね」 「う?うん、それを学びたくて進学したから」  進学……と胸の中で呟いて、鞄の中の用紙を思い出す。  やりたいことや興味のあることがあれば、こうやってそれを目標に進学することもできるんだろうけど…… 「あ、あそこかな?」  指差す先には鳥居と、その周りを掃除する多郎太のおじさんが見えた。 「はい、掃除しているおじさんに話をすると、いろいろ説明してもらえると思います」 「ありがとう!助かったよ」  ほっとした様子で神社の方に歩いて行く仙内を見送って、僕は思い出してしまった進路希望調査の紙をどうしたらいいかなって思いながら家に帰った。  早く帰ってきて何をさせられるのかと思ったら、庭に置いてある物置の整理の手伝いだった。  いつも特に触る場所でもないんだから、わざわざ急にすることもないのに…… 「思い立ったが……だもんね」  埃だらけだった体を風呂で流してほっと一息つく。 「仙内さん、資料?見せてもらえたかなぁ」  そう言った神社の資料?古文書?とかって見せてもらえるものなんだろうか?  今日、仙内から聞いた話は今までの生活にまったくなかった世界の話で……  そんな世界もあるんだなって目から鱗な気分だった。  ────コンコン  ノックと同時に「りーん」って名前が呼ばれた。  多郎太が僕を呼ぶ時に時々伸ばす癖があって、そうやって僕を呼ぶのは多郎太だけだ。 「たろちゃん?」  バタバタと駆け寄ってドアを開けると、バスケの助っ人をしてきたせいか汗で髪を濡らした多郎太が紙袋を持って立っていた。 「どうしたの?」 「いや……ほら、一緒に帰れなかったから」  ずいっと差し出されたのは甘い匂いの漂う……  

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