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手作りの楽園で 11

 間に合ったんだってわかって、ほっとしながら手を振る。  僕を見て、いつもなら笑ってくれるはずなのに今日は目が合いそうになった途端さっと逸らされて……  僕のせいで遅刻しそうになったことで怒ってるんだなって思ったら、せっかくあの橋を渡れるようになったって言うのに心は萎んでしまって項垂れるしかない。  とりあえず謝らなきゃって思って、ホームルームが終わった途端に多郎太のところへ駆け寄る。 「たろちゃんっごめんね!僕の支度が遅かったから迷惑かけちゃって……」 「…………」  俺を見る多郎太の返事がなくって、そんなに怒らせちゃったのかなって焦り始めた時、ぐいっと腕を引かれた。 「え?わっ」  僕と多郎太では競争にならないくらい腕力には差があって……  多郎太に倒れ込んだ僕に、聞いたこともないような低い声が響く。 「それ、なに?」 「え……?」  それ、がなんなのかわからなくておどおどと多郎太を見上げる。  周りが僕たちの雰囲気のおかしさに気づいてしん……と静まり返って、変な感じになっちゃうから、大慌てで何でもないよって手を振って見せたんだけど。  でも僕の行動も、多郎太が力任せに腕を引っ張るから台無しになってしまった。 「ちょ……たろちゃん!?」  あっと言う間に教室から連れ出される僕を、クラスの皆がぽかんとした様子で見てて…… 「た、たろちゃんっごめんって!ホント、こう言うことないようにするから!そんなに怒らないで!」 「…………」  繰り返しそう言うのに、どうしてだかどの言葉も多郎太に届いてないって確信だけがある。  掴まれた腕は痛いし、多郎太とは足の長さが全然違うせいか引きずられるようで……  怖くて怖くて、仕方がない。 「た……たろ  ちゃ」  ぶるぶると恐ろしさで震えが止まらない。    どう言う言葉をかければ多郎太が許してくれるのか、どこに連れて行かれるのかもわからなくて、泣きそうな声でもう一度「たろちゃん」って呼びかけた。   「…………っ」  ぐっと一際腕を強く握られて思わず痛みに呻くと、そこでやっと多郎の目がこちらを向く。 「た、たろちゃ……腕痛いよ、どっか行くならついて行くから……あっ」  僕を見ていた視線がそらされて、また引きずるようにして歩き出す。  きつく握られているせいで指の先は冷たくて痺れてて……  涙が出そうになった時、がらりと音がして空き教室に投げ込むように押し込められた。 「いっ……」  無理矢理方向を変えられたから、足が変な具合に絡まって盛大に倒れ込んでしまって……  

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