302 / 714

手作りの楽園で 16

「お、俺……」  床に落ちた涙に多郎太が真っ青になる。 「お……怒りたいのは僕だしっ!こ、怖い思いしたのも僕なんだよ!」  ひくっとしゃくりで言葉が途切れて、続けようとしたけれどもう何を言っていいのか分からなかった。 「俺、は……倫に俺以外の臭いがついてたから……」  大きな体を萎めて、青い顔のまま多郎太は僕には良くわからないことを呻き続けている。 「だって、……りんは俺の、なのに、りんに、他の臭い、……勝手に、出て行かないように、だって、いつもは   」  ぶるぶると震える姿は明らかにおかしくて…… 「……たろちゃん」  あんなことをされた直後だって言うのに、それでも僕はそんな様子のおかしい多郎太を放っておくことができなくて、僕を押さえつけて放さなかった手を取った。  濃い、牡のニオイがする……  僕のナカに出された、多郎太が本気で種付けしようとして出した濃厚で、きつい牡のニオイのする精液。 「たろちゃんの……ニオイ」  舌を細めてなぞるように指を舐め上げれば、刺すような刺激と苦い味が舌先をくすぐる。  けして美味しいモノではないのに、  どうしてだか……   「たろちゃんの、美味しい」  さっき精液を擦りつけられたところがジン……と痺れるように熱くなる。  すんすんと鼻を鳴らして多郎太に圧し掛かると、剥き出しのままだった下半身が触れ合うと、どうしてだか腹の奥が焦れるように疼き始めた。  今まで経験したこともないような、腹の奥から何かが欲しくて堪らないような、そんな感じだ。 「たろちゃ……どうしよ、僕、へん……」  変って言いながら、多郎太の手をついさっきまで犯されていたアナへと誘う。 「んぁっ!」  ほんの少し指先が触れただけで上がった甲高い声は、もう無理矢理襲われた人間の声なんかじゃなかった。 「りん……りん……」  僕のと違って長い指が入り口をなぞるみたいに蠢いて……  それでだけでひくひくとチ〇ポの先端から雫が垂れる。 「たろちゃんっそこじゃやだ……やだぁ」  指先に擦りつけるようにして腰を動かすと、自然と指先がつぷつぷと入り口をこねくり回す。  それが、たまらなく気持ち良くて……  発情期の猫みたいな声が喉から自然と溢れ出した。 「たろちゃ……あっつぃ、あつい、  っ」  多郎太と触れあっているところが、  青臭い多郎太の精液の臭いを吸い込んだ肺が、    たまらなく熱くて体が今にも溶けてなくなってしまいそうだった。 「りん……」  多郎太が鼻をすんすんと鳴らして、ぱぁっと全開の笑みを見せた。  

ともだちにシェアしよう!