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運命じゃない貴方と 11

「さ、大神さんを煩わせないで」 「う……」  うん と頷き、あかは居場所を見つけられないままそわそわと後ろをついていった。  きわめてシンプルな部屋に入り、今まで連れて来られた部屋との違いに面食らいながら、あかは物珍し気にきょときょとと辺りを見回す。  装飾を極力捨て去ったようなその部屋は、小さな観葉植物すらなくてどこまでも無機質だ。 「当分、お前はここで暮らせ」 「え⁉」  あかは飛び上がると、大神に飛びついて力一杯首を振る。 「あんたは!?俺はってことは、あんたは  」 「大神さんだ、きちんと呼びなさい」  直江にぴしゃりと言われてあかは身を竦めてそろりと「大神さんは?」と問いかけた。  大神の傍に居るために自分の命を盾にとるなんてことまでしたのに、ここに置いていかれてはなんの意味もない……と、食らいつく気で大神を見上げる。 「俺、あん……大神さんの、とこにいたい」 「……」 「やだ……いやだ……」  腕が回り切らない体に手を回し、必死に訴えていると頭上でふぅと溜息が漏れたのが聞こえた。 「まずは体を治せ、それからだ」 「あ、えっと、俺、元気!」  どこも悪い所はないと手を広げて見せるが、ここ最近のハンガーストライキのせいか服は不似合いなほどぶかぶかだ。 「直江、服と食事を」 「はい」  言葉を受けて踵を返そうとした直江が思い直したように止まり、大神の傍でひそりと何事かを尋ねる。  あかには聞こえなかったが、それを聞いた大神はぐっと眉間に皺を寄せて面倒そうに直江に手を振ってみせた。 「では適当に用意いたします」  頭を下げて出ていく直江を見送ってから、大神はネクタイを外して放り出す。 「食事が来るまで好きにしていろ」 「う、あ……はい」  好きに……と言われてもぴんと来ず、あかはどうしたらと考えてからソファーに座る大神の横に腰を下ろした。   「好きにしていろと言ったぞ、向こうに寝室がある。休んでくればいい」  そう言うとあかに構うことなく煙草に火をつける。  つんと来るような、思わず顔をしかめたくなるような馴染まない臭いに息が詰まりそうになって、あかは喘ぐように口を開く。 「あの、話しの続き……」  そろりと言うと、大神は意外そうな顔を見せてからゆっくり紫煙を吐き出した。  騒然となった屋敷に、ササキは手放しそうになっていた意識を引き戻して慌てて部屋を飛び出す。  明らかに尋常でない雰囲気に、廊下を走る組員を怒鳴って呼び寄せた。 「何があった」    ササキの呼びかけに組員は怯えたように言い淀む。  

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