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乞い願い慕い犯す 4

 彼は混乱しているように見えた。 「いやらしくは思わなかったのかな」 「……いや……ら……」  そう呟く彼の体が鳥肌に覆われ、目には嫌悪が更に色濃く映り込む。 「ひざ、を、やらしく、なめた」  ぎこちなさにまるで機械音声を聞いているかのような気分になるが、それも初めてだから仕方ないと無理矢理に納得した。  両手を膝の上に置き、そこからゆっくりと腿の方へと緩く力を込めながら擦り上げると、彼の体が震えているのが良くわかる。 「ふとももを……なで  い、やらしく、なでる」 「そうだね」  自発的に言葉を紡いでくれたことが嬉しくて、鼠径部を親指の付け根で押すように揉み上げた。  そうすると寄せられた肉が間にある性器を押し上げて……  颯の顔に戸惑いが現れる。  そこを内側寄りに繰り返し揉み上げ続けると、皮膚の引き攣れに従って愛らしい袋が弄ばれるように左右へと振れる。 「な……ぁ、も……んで?……る?」  直接ソコに触ったならば紡ぐ言葉もあったのだろうけれど、残念ながら私の指はほんのわずかも彼の性器には触れていない。  なのに、彼のくたりと右側に倒れていた性器はぴくぴくと反応するように時折小さな動きを見せた。 「足の、付け根を揉んでる」  そこ以外に触れなかったせいか、苛立ったように彼が強く告げる。 「気持ちいいだろう?」 「別に……」  視線をこちらに遣らないまま呻く彼の性器に手を伸ばして、プラムのような先端をわずかに覗かせる皮を指で摘まむ。 「ぅっ!?」  油断していたのか、彼の声は思いの外大きい。  はっと口を噤んだために落ちた沈黙、その中に響かせるために、私はあえて大きな音が出るようにその皮を引っ張ってから手を離した。  平素ならば聞こえないだろうほんの微かなくぱん と言う音も、静けさばかりの校舎には良く響く。 「  っ……な、に……」  彼に分からせるために私はもう一度柔らかくてぐにぐにとした皮を摘まんで引っ張り、覗く亀頭に微笑みかける。 「さぁ」 「ぁ……ぁ……ゃ…………やめろっ!止めだ!他になんでもする!もうこんなこと  っ」  カツン と携帯電話の表面を叩き、そこに映る画像を見せると彼ははっとしたように押し黙った。  小柄な少年が、ラブホテルの前で中年の男性に腰を抱かれて入ろうとしている瞬間だ。  小さな画像だと言うのにそれでもその少年の愛らしさははっきりと分かる。  Ωらしい愛らしい目鼻立ちと雰囲気の少年の姿を見た途端、颯はぐっと言葉を無くして視線を逸らしてしまう。 「か 皮、をつまんだ」 「違うだろう?ここは、ナニ?」  努めて穏やかに問いかけていると言うのに、彼は殺人鬼にでも追いかけられたかのように真っ青だ。

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