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乞い願い慕い犯す 5
「せい、き の」
「性器?」
問いかけると彼は怪訝な表情だ。
確かにそうだ、間違いではない。
「もっといやらしい言い方がいいとは思わないかい」
「…………」
青い顔で彼は答えを探しあぐねているようだった。
「君は、AVなどは見ないのか?」
純粋な問いかけだったのに、侮辱されたようなショックを受けた顔をしてぐっと唇を引き締めるのが見える。
「…………ち、ち〇ぽの皮、をつまんで、る」
「ああ、うん」
その言葉は十分だったけれど、私にだって悪戯心と言うものがあるのだ。
「もう少し丁寧に言って貰おうか」
彼はもう混乱の中で泣き出しそうな表情をしていた。
けれど、αとしての矜持が許さないのだろう、必死に考えているようでもある。
私は彼を促すために、へたり込む彼の性器の皮を摘まんでは放し、摘まんでは放しと弄ぶ。
その度にくぱくぱと人体の襞が出す湿った音が小さく響いて心地よい。
「丁寧にするには?」
「……ぉ、ち〇ぽ?」
ギリギリと噛み締めた歯の間から漏れる言葉は愉快の一言に尽きる。
「続けて」
「お ち〇ぽの、皮を、ゆ、びで、摘まんで……る」
たかが「お」をつけただけで酷く言いにくそうにどもり、目にはうっすらと涙を浮かべてさえいた。
指先で皮をゆるゆると上下させてやると、怯えて縮まっていた性器が緩やかに力を取り戻していく。
「っ、ぅ……お、ち〇ぽを……擦られて……」
「君のはどうなっているかな?」
「こす…… られて、 」
増した質量に押されるように、先ほど弄んでいた皮から愛らしい先端が顔を覗かせる。
私の手の中で、颯の性器はもう勃ってはいないとは言い切れない形状に成長していて……
「勃って……」
小さく鼻を啜る音に、これが屈辱なのだと分かる。
彼はαだ、社会的に見ても性別的に見ても、侮辱される側ではなく支配者らしい威厳を持って我々を蔑むべき階級の人間だ。
秘めた才能の数々を誇り、なんの汚点も持たずに光の真下でまっすぐ立つような、そんな人生を歩んで然るべきなのだ。
「そうだね、私の手で性器を擦られて勃起している」
「……そんなの、は、生理現象だ」
それでも言葉を返すのは、彼がまだ諦めていない証拠なのかもしれない。
その不屈さに、頭を床に擦りつけたい気分だった。
「そう、生理現象。オメガが、発情期にどこの誰かもわからない汚いち〇ぽに群がるのも、生理現象だ」
「────っ! 杠葉は違うっ!」
彼はその名前を口に出したことを酷く後悔しているようだ。
まるで私の前でこの名前を告げると価値が下がるか、もしくは汚されてしまうとでも言いたげだった。
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