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乞い願い慕い犯す 9

 一気に捲し立てた私の言葉に、彼は鼻白んだようだった。  動かしていた手を止めて、蔑む目を向けたいのに向けることのできない葛藤と戦いながら、唇を湿らせるために舌を出す。   「蹂躙するのが好きなのかな?それとも吐きたくなるほど甘いやり取りをしながら?君達は普段どうしているのかな?」 「  っ、す、するわけないだろっ」  学生なのに……と、今どきの子供らしからぬ言葉に今度は私が鼻白む。  いや、その言葉ではなく、今どきの子供だし、ましてやαとΩなのだから……と思い込んでしまっていた自分自身が恥ずかしくてだ。 「でもマスタベーションはするだろう?まさか夢精頼り?」 「ちが……」 「じゃあ、君の頭の中を教えておくれ」  ぐっと顎に力が入ったのがわかる。  上着の内ポケットに入れてある携帯電話がなければ、私はとっくに彼に殴られていただろう。  いや、殴り殺されていたに違いない。 「……ゆ……ずりは、を、ベッドに、……横にして……」 「それで?」 「触って……」 「彼は服を着ているの?」 「っ……した、下着だけ……」 「ああ、彼には黒いベビードールが似合いそうだね」 「べび……?」 「ひらひらとした、レースの服だよ」  豊かな妄想をするには知識が必要とはよく言ったものだ。  彼の妄想の中で、杠葉はトランクスかボクサーパンツ、もしくは白ブリーフでも履いているのだろう。 「……横になってる、体に……触って」 「どこから?おち〇ぽ?それともいやらしく腫れた乳首?」 「っ!……肩……に、触って、抱き締めて……ぎゅっとして……」  言葉選びに夢中になっているせいか、彼の手は止まりがちだ。 「き、キス……したり、  」 「オメガま〇こには触らないのかい?」 「なっ  っ!」  腕は止まって奥歯がぎりぎりと音を立てているのがこの距離でも聞き取れる。   「赤くぷっくり盛り上がって、君のアルファち〇ぽを欲しくてクパクパしているとこだよ、触ってあげないの?」 「さわ  っる、けど……」 「どこを?」 「お……おしり……」 「ではなく?」 「……お、め…………」  彼に浮かぶ苦痛の色は、杠葉に対してそんな言葉を使わざるを得ないこの状況に対してのようだ。  颯の中で杠葉は信仰の対象であるかのように、崇高であり、汚れなく、美しく、愛おしく思える存在なのだろう。  まったくもって、反吐が出る。 「おめが……ま  っ」  弄られていなくても力を漲らせていた彼の性器が、やや草臥れたように見えた。 「………………お、めが、  ま、   こ」  ぽつぽつと絞り出された音が意味を持っているとは思いたくはなかったけれど、今日はこれが限界のようだった。

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