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乞い願い慕い犯す 14
彼に感じたのは失望ではなかった。
そんな生易しい感情などではなく、どうしてαである彼が、Ωである杠葉のために堕ちなくてはならないのか、ただただ憤りと絶望と怒りと唖然とした感情だった。
頭を下げるならβである私のはずなのに、ヒエラルキーのトップに立つこともできる彼が頭を下げることはどうにも受け入れ難いことだ。
それらの思いが、どうやらどこかを突き崩してしまったようで……
私に頭を下げる彼を元に戻すにはどうしてやればいいのか?
杠葉に失望すればそうしてくれるのか?
叱ればいいのか、
諭せばいいのか、
窘めればいいのか……?
いや、きっとどれを行ったとしても彼は杠葉のためならば元の輝きを取り戻そうとはしないだろう。
その甲斐の無さは、心にぽかんと穴が開いたようにさえ思った。
けれど、床からこちらを見上げたαの眼差しに、彼はまだ完全に堕ちていないのだと知った。
だから私は、身命を賭してでも彼を戻してやらねばならない。
Ωと言う魔性の生き物から引き離し、その性が与える魅惑よりももっと素晴らしいものがあるのだと……
「きついな」
フィンガーコンドームをはめた指を差し入れてはみたが、彼の密やかな箇所は頑なだ。
「知っているかい?例えレイプだとしても、オメガのここは初めてでも柔らかくあっさりおち〇ぽを飲み込めるって」
「っ っ ぅ」
食いしばった歯の間からは言葉は漏れない。
そんな余裕もないようだ。
「いやだ、止めてと言いながら足を大きく開いて、雑魚ち〇ぽおったてながら、処女ま〇こ犯されて射精できてしまうんだよ」
「っ、ぅ、 んな、こと 」
「しかも突いてやる度にどぴゅどぴゅ精子垂れ流して、自分で腰振っているんだ。拒絶なんて口だけなんだよ」
「ふ、ざ っあく、しゅ、み っぅあ!」
罵倒の言葉が出そうだったので、差しこんだ指をぐぃと穴を開くように動かしてやれば、呻き声を上げて黙りこくってしまう。
「最後には自分からおち〇ぽ様くださいって言って、しがみついて舐めて頬ずりして放さなかったんだ」
「……ふ、ぅ 」
「オメガってそう言う生き物なんだよ」
二本目を差し入れ、ぐちゅぐちゅと中に入れたローションを掻き混ぜるようにこねくり回していく。
「オメガには使う暇がなかったからわからないのだけれど、どうかな?媚薬入りと書いてあったのだけれど」
そう問いかけるも返事をする余裕はなさそうだ。
「成分を見てみたんだが……怪しいものでも入っているのかと思いきや、大したものはなかったよ。血行の良くなる成分が媚薬に当たるのかもしれないね」
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