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乞い願い慕い犯す 15

 ふぅふぅと苦痛を逃がすように息を吐く彼は返事をしない。  きついほどに二本の指を締め上げる姿を眺めて、彼が早くもういいですと言い出さないだろうかとぼんやりと思う。  バース性の傾向的に、αは人に押さえつけられるのを嫌う。  ゆえに彼にとって自分の体を好き勝手に触られ、蹂躙されようとしているこの瞬間は何よりも屈辱のはずで、αとしてβのち〇ぽを受け入れなくてはならないこの尊厳を踏み躙られる瞬間は耐えがたいもののはず。  なのに…… 「指を何本入れれば受け入れる準備ができるだろうか?」  そう問いかけてやると、指に犯された穴がきゅうと締まって答える。  感じた……と捉えることができたならどれほど良かっただろうか。  彼のこの反応はただ処女を散らされることに対する恐怖での反射に過ぎない。 「はは。君ほど大きくはないよ、安心していい」  縮まって皮の中に隠れてしまっている本体に目を遣るけれど、その状態でも十分に立派である。 「っ……」 「まぁ、使わないのだけれどね。ああ、ほら、引き抜く指をこんなにうまそうに咥えて……堂本は厭らしいな」 「!?  ち、ちが……」 「勉学もスポーツもできて、おま〇こまで優秀とは驚きだ」 「な  っ」    自分の排泄のための器官を性器と言われて、彼の肌がさぁっと赤く染まっていく。  暗い中でもはっきりとわかるほどの狼狽えぶりに、もう一度「はは」と笑って指を増やした。  根元につれて太くなるせいか、三本も入れたら第二関節までしか入ってくれない。 「ほら、力を抜こうか」 「ふ、 っ、ぅ゛、や、め  気持ち、わ……吐、く」 「吐くなら吐いていいよ、ゲロ塗れになったって、どうせ最後には綺麗にしなきゃいけないんだから」  下から内臓を圧迫される感覚に慣れないのだろう。  彼の喉がぐっぐっと鳴り続けている。 「ああ、ほら」  その合間にぐいと押し入ってやれば、私の指を三本、彼の性器が咥え込む。 「やっぱり君は優秀だ」 「  っ  っ、   」  暗い部屋の中でなお、ぎらりと光る目が私を睨む。  怒りのままに私を殴り倒し、αらしくこんなことはできないと言ってくれるのではないだろうかと期待が高まりもしたが、結局彼はあっさりと視線を逸らしてしまった。  肩透かしを食らったような切なさは、きっと彼が思う以上だ。 「特に感想もないようだし、では本題に移ろうか?」 「 ひ」  張りついたような悲鳴。  けれど彼は逃げなかった。  こんな状況でなお、やはり彼が上に立つべきαでその矜持を失っていないのだと分かり、私自身に熱が集まるのを感じた。

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