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乞い願い慕い犯す 35

  「 っ」  何も言わずにテスト用紙を揃え始めた私を見て、彼は観念したかのようにそろりといきり立つ股間に手を伸ばす。  生徒は下校したとは言え、放課後の学校での自慰になんの戸惑いも見せないその姿に昏い笑みが浮かびそうになる。 「っ、っ  っ  」  自身を高めようとする荒い呼吸だけが響く。  苦悶に近い表情を乗せながら懸命に腕を動かす姿はただただ滑稽だった。  デスクの上をすべて片付け終えて振り返ってみると、彼は青い顔をして懸命に腕を動かしている。 「……」  彼の形のよい指に擦られているち〇ぽは支えられているために辛うじて上を向いているが、傍目に見てそれに芯が通っていないことは明白だった。 「終わったのなら服を整えなさい、戸締りをしなくては」 「っ……」  ぶる と彼の肩が震えて悔しそうな目がこちらを睨む。 「どうした?一度出したせいでイきにくいのか?」 「……はぃ。たぶん……」  彼はなんとかそう絞り出すけれど…… 「ではもういいだろう?萎えたなら萎えたで」  手の中のカギをチャリチャリと鳴らしてやると、それを追いかけるように彼の視線が動いてぐっと喉が動く。 「そう言うこともあるだろう、堂本。早くしないとバスがなくなるぞ」  冷たく言い放った私に、彼は何も言い返せないままぐっと唇を引き結んでみせた。 「ああ、堂本。器具の片づけを手伝ってくれ」  四時間目の終わりにそう言うと、一瞬だけ彼は眉を顰めて返した。 「すぐに済むから」 「……はい」  渋々と言った返事は彼には珍しい。 「僕も手伝います!」  さっと間に割り込んできたのは杠葉だ。  Ωらしい身長と、華奢な体のライン、それから人の目を引く愛らしい顔立ちをしている。 「そうすれば、早く終わりますよね?」  八の字になった眉で問いかけられると、大抵のαならば是と答えるのではと思わせ雰囲気だ。  さてどうしたものかと答えに詰まると、颯の手が杠葉の前に差し出される。   「杠葉……これは、俺がやるって言った約束だから」 「でも……」  何か言い募ろうとした杠葉をぐいと押しやって、彼はさっと私に険のある視線を向けた。  それは、Ωを守るための、αの目だ。  ゾクゾクとするようなきつい眼差しに、攣れるような笑みが浮かびそうになる。 「器具と薬品を棚に戻すだけだからすぐすむよ」  そう言ってやると、杠葉は表情は変えないまま何も言い出すこともできずに引き下がった。 「その箱を準備室に運んで、中のビーカー類を種類別に棚に入れて。ラベルとか見たらどこに何を入れるか分かるから」  

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