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落ち穂拾い的な 発情期
もし自分がαでΩのフェロモンがわかったならば、玄関に入った段階で卒倒している と、以前颯に言われたことがある。
それだけ杠葉の発情期のフェロモンは凄まじいらしく……
「ただいま」
いつもは明かりの点いているリビングが真っ暗だった。
それが、合図だ。
「連絡の一つもしてくればいいものを」
そうすれば、同僚との下らない雑談なんて放り出して飛んで帰ってきたのに……
βの中でも、中立な……α寄りでもない私には匂いは感じない。
けれど気配が違った。
いつもは清潔で軽やかな空気が、重苦しく地を這うような重いものになっている。
それくらいはわかる。
「杠葉?」
杠葉の寝室への扉を開けると、押し潰されるような呻き声が小さく耳を打つ。
暗い、明かりがまったくない部屋の中で、一人の影が懸命に腰を振っているのがシルエットで見える。
髪を振り乱し、滑らかな曲線の腰を必死に打ち付ける度に、ひぃひぃと押し込められた嬌声が上がっていた。
「夢中だね」
「…… ぁあ?せんせ……?」
ベッドに近づくと臭うのは、フェロモンなんてものではなくて汗と精液の生臭いものだ。
呼びかけてはいても、果たしてそれが意識して行われたものかは怪しい。
発情期中の杠葉はまさにそんな状態だった。
「せんせ、せんせ、せん……」
ぶるる……と体を震わせて、杠葉は耐えるように顔をくしゃくしゃと歪めて身を固くする。
途端、こぽりと粘ついた液体が溢れる音がして……
「ぅ゛ん゛」
小さな声が上がった。
「ああ、もうどろどろだ。随分出したね」
そう言って白濁の液を溢れさせる穴に指を挿し込んで広げてやると、こぷこぷと体内に出されたものが溢れて伝い落ちる。
「せんせ、せんせぇ」
「これだけ出して、まだ落ち着かないのか?」
「らって……お腹の、奥、おぐ……せっつな、く、て……っ」
そう言いながらも杠葉は腰をへこへこと動かし、自分の下で呻いている颯へと挿入を繰り返す。
ボールギャグと手足の拘束のせいで、ベッドの上の颯はそう言った形のオナホではないかと思わせるほど人間性がない。
ただただ、杠葉の欲を吐き出すための道具だ。
「せんせ、せんせぇ」
スンスンと鼻にかかるような、今にも泣きそうな声で杠葉が私のスラックスのベルトに手を伸ばしてくる。
「シャワーを浴びてくるよ」
「ぅうん、せんせ、の、濃い臭い、……鼻の奥にこびりつきそうな、くらい、ムレムレしたおち〇ぽ様の臭い嗅ぎたい」
甘えるように頬を擦りつけられてたけれど、それをぐいと引き離す。
「ほんの少しだよ。それまで堂本で遊んでいなさい」
「ん゛っ……や、だぁ、颯じゃ、奥……おく、せつないまま、なんだ、も、ん」
そう言うと、口で器用にチャックを下ろして中身を引きずり出す。
「せんせのカリ高ち〇ぽでナカ擦って欲しいんだもん」
強請る仕草にしかたなくスーツの上着を脱いで、颯を犯している杠葉に覆い被さった。
そうすると一際濃い精液の臭いが鼻を突き、私達の下にいる颯のくぐもった嬌声も大きく聞こえるようになる。
拘束されて、ただただ犯される。
その体はもうすでにメスであることを示すように、彼の股間は項垂れたままだ。
なのに杠葉が腰を動かす度に、ひぐひぐと喜びの声を上げている。
「さぁ、なんて言うんだった?」
そう尋ねると、杠葉の指が尻肉を手で左右に広げた。
今から犯される期待にひくつくΩま〇こと、そして杠葉に犯されている颯の穴が丸見えだ。
「 アルファま〇こで腰を振ってる僕のとろとろおま〇こを、先生の血管ばきばきに勃起したち〇ぽで犯してください」
杠葉はそう言って振り返り、艶やかに笑ってみせた。
END.
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