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晴と雨の××× 17

 以前住んでいたところでは毎日のように侵入されていたし、そんな警戒するような相手でもなかったからすっかり報告するのを忘れていた。  ────おかしなことがあれば、報告するように。  以前に瀬能に言われた言葉を思い出して気まずい思いに肩をすくめた。  おかしなこと……と言われても、一般の高校生にとっておかしなことなんてそう起こるわけもないし、ましてや虎徹の侵入なんて日常茶飯事のことに対してこんなに血相を変えられるとは思ってもいなかった。  しかたなく、「すみません」と謝ってみるも……  瀬能は難しい顔をして俺の言葉を聞いているのかいないのか。 「君には実は護衛をつけててね」 「は!?」 「あ、いや、護衛なんて言ったら堅苦しくてあれなんだけど、まぁボディーガードだよね」 「え⁉」  思わず飛び上がった俺に、瀬能が向ける視線は真剣だ。  調子のいいこの医者のジョークと言うわけではないんだろう。 「あの……意味が分かりません」  ついでに言うと、今までそんなのがいたのすらわからなかった。 「君はまぁ、いろいろバース研究で注目されているからさ、念のためって言うやつさ」 「は、はぁ?」  あってもなくてもいい『χ』なんてバース性を、わざわざガードする必要がわからなくてきょとんと返す。  特別秀でた何かの能力があるのならまだしも、自慢じゃないが成績は普通だし、外見も普通だ。  特に気にかけるような幼少エピソードもなければ、せいぜい夏休みの絵画コンクールで銀賞を貰った程度で、とりたてて何かを言えるような能力もない。  まぁ、強いて言うなら雨男だってくらいだ。  もっとも、それも……本人曰く、晴れ男だから!の虎徹と競り負けてすっかりなりを潜めてしまっている。  あいつといると、備えのために持ち歩いている折り畳み傘の出番がなくてちょっと寂しい。 「君は今日は家に帰らず、このまま研究所に泊ってくれる?」 「え⁉なんでそんな大事になってるんですか?ちょっと知り合いが家にいただけで……」  と反論したけれど、合鍵も持たせていない知り合いが家で家事をしていた……なんて、ホラーか通報案件だってことを思い出す。  あまりにも虎徹の突飛な行動に慣れ過ぎていたけれど……  ってか、あいつはどうやって家に入ってたんだろう? 「とりあえず、改めて家の準備とボディガードが来るまではここで」 「いやっ困ります!学校もあるし!」 「君に何かある方が困る。お預かりしている息子さんを危険な目に遭わせるわけにはいかないからね」

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